小説「FF14光のお姉さん - 夢と現実の狭間で」第2話 新たな世界の扉
夜のホーム
リコは冷え込むホームのベンチに座っていた。電車の音はもう聞こえず、夜の静けさだけが彼女を包んでいる。彼女の目には涙が浮かび、今日一日の出来事を振り返りながら、彼女は自己と向き合っていた。
リコ : 「どうしてこんなに力が抜けてしまうんだろう…誰も私の苦しみを理解してくれないみたい。でも、これが試練なら、乗り越えないと。私にはまだ夢がある。これは終わりじゃない、新しい始まりだ。」
彼女は携帯を取り出し、美術館での写真を見つめる。そこには彼女が携わった展示の成功の瞬間が写っている。涙を拭い、深呼吸をすると、リコは立ち上がり、一歩踏み出す決意を新たにする。
リコ: 「大丈夫…明日までに、何とかしてみせる。」
朝の美術館
朝日が窓から差し込む美術館のオフィスにリコが居た。彼女の顔には一晩中働いた疲れの色が残っているものの、その目は意志に燃えていた。彼女は直接デスクに向かい、昨夜未完成だった資料の修正に取り掛かった。
リコ: 「これが私の答え。私は逃げない。」
リコは資料を一つ一つ丁寧にチェックし、完璧に整えていく。その集中力と献身が、夜が明けるまで続いた。遂に資料を完成させたリコは、疲労のあまりデスクでうとうとと眠り始める。
朝の出勤時間、部長がオフィスに到着すると、静かにリコのデスクに近づき、彼女が完成させた資料を手に取る。資料を一通り確認した部長は、リコの頑張りを認め、彼女がまだ眠っているのを見てほほ笑む。
その時、他の部下が出勤し、眠っているリコを起こそうとするが、部長が優しく手を挙げて止めた。
部長: 「そのままにしておけ。彼女は昨夜遅くまで頑張っていた。ゆっくり休ませてやれ。」
部下が小声で応じる。
部下: 「はい、分かりました。」
部長はリコを見守りながら、部下に向かって言葉を続ける。
部長: 「リコは、おっちょこちょいだが、彼女には作品への情熱がある。それが何よりも大切だ。お前たちも、その情熱を見習え。」
部長 : 「情熱は完璧さを超える。それがリコから学ぶべき最も大切なことだ。」
部長の言葉が静かにオフィスに響き渡った後、リコはデスクでぐっすりと眠り続けていた。その光景は、周りの同僚たちにも温かい笑顔をもたらしていた。
やがて、リコは大きなあくびをしながら目を覚ました。目が覚めるとすぐに彼女の視線はデスクの上の時計に釘付けになる。
リコ: 「げげげっ!! 11時!?」
彼女が飛び上がると、隣の同僚がニコニコしながら声をかけた。
同僚: 「リコ、おはようさん。お前、スゲーな!昨夜からずっとここで資料作ってたんだろ? それで、今朝、部長に褒められてたぞ。」
リコはまだ半分眠っているような顔で、ポカンとしていた。
リコ: 「へ?…あ、おはよう…」
その時、同僚が部長のまねをして得意げに言う。
同僚 (部長の真似をして): 「情熱は完璧さを超える。それがリコから学ぶべき最も大切なことだ。」
笑い声が上がる中、会議室から部長と数名のスタッフが出てきた。リコはその様子を見て、急に動揺し始める。
リコ (慌てて): 「すすすみません、部長!こんなところで寝てしまって…」
部長はクスリと笑いながら、からかうように言う。
部長: 「良く寝ていたな。でも、おかげでプロジェクトが大成功だ。クライアントも喜んでいたぞ。」
リコの目が大きく見開かれる。
リコ: 「え、じゃあ…採用されたんですか?」
部長: 「ああ、採用だ。よくやった、リコ。」
リコの顔には信じられないほどの喜びが溢れ、同僚たちも彼女の成功を祝福した。オフィスは一瞬にして祝賀ムードに包まれた。
リコのアパート — FF14への初ログイン
祝賀ムードから一息ついた後、リコは夕暮れの美術館を後にする。成功の余韻に浸りつつ、急いで帰宅へと向かう。夕日が街をオレンジ色に染めていく中で、一日の出来事を内心で噛みしめていた。
リコ : 「今日は本当に長い一日だったけど、すべてが報われた感じがする。少し自分を労わってもいいかな。」
リコがアパートに到着すると、すぐにドアを開けて安らぐ空間に足を踏み入れる。部屋は彼女の趣味のアート作品や小物で溢れ、居心地のいい雰囲気だ。彼女は靴を脱いでソファに身を沈めた。
リコ: 「やっと家に帰れた…」
今夜は音楽をかける代わりに、リコはパソコンの電源を入れて、夜のリラクゼーションの準備を始める。軽い夕食を作りながら、一日の緊張を解きほぐす。食事が終わると、彼女はお気に入りの紅茶を淹れる。湯気が立ちのぼる紅茶の香りが部屋を満たし、リコはその中で深くリラックスする。
リコ: 「さて、今夜は新しい冒険の始まりだ。」
彼女はファイナルファンタジーXIVへのログインを決意し、ゲームコンソールを起動する。キャラクター選択画面で自分のアバターを選び、ログインボタンを押す。画面が切り替わり、壮大なオープニングシーンが展開された。
リコ (目を輝かせて): 「これがFF14新生エオルゼア!すごい!映画みたい!」
リコは画面に映る壮大な景色と音楽に圧倒された。現実世界のストレスから一気に解放され、新しい世界での冒険に胸を躍らせた。
リコは初めてログインしたファイナルファンタジーXIVでの体験に夢中になった。リムサ・ロミンサの活気ある街並みを歩きながら、彼女はゲーム内のコミュニティの暖かさと新たな冒険の始まりに胸を躍らせた。
リコの選んだキャラクターはララフェル、エオルゼアで一番小さくて愛くるしい種族だ。その小さな体には驚くほど大きな心と冒険への情熱が詰まっている。ララフェルのエモートの一つ一つがとても表現豊かで、その可愛らしさにリコはすっかり魅了されてしまった。
リコ:「エモートがめっちゃかわいいの!」リコは興奮気味に語る。
「これを見てよ!」彼女はキーボードを操作し、ララフェルが愛嬌たっぷりに手を振るアニメーションを表示させる。
リコは初めてのジョブとして巴術士を選んだ。巴術士は、エオルゼアでは珍しいジョブで、その魔法は召喚術と治癒術の二つの道へと派生する。
ジョブクエストをこなすことで、リコは召喚士または学者としてさらなる力を得ることができる。そして、片方のジョブを育てればもう一方のジョブも同時にレベルアップする、一石二鳥のシステムに彼女は興味津々だった。
リコ:「召喚士か学者か、どちらかに派生するんだけど、ジョブクエストさえこなせば、どちらにもなれるんだって。片方のレベルを上げるともう片方も上がるから、とってもお得なんだ」とリコは独り言を話す。
彼女のキャラクターは、まだLv1の若葉マークを付けた新人の冒険者だが、その目は未来への大いなる期待で輝いていた。リムサ・ロミンサの街角で、リコは初めてのクエストを受ける。食材を集めるというシンプルな任務だが、彼女にとっては新しい世界での第一歩である。
リコはFF14の魅力を十全に活かしながら、彼女自身の冒険もまた、まさに始まったばかりだ。
リコ:「ここはただのゲームの世界じゃない、生き生きとした別の現実があるんだ…!」
約数時間のプレイ後、リコはLv15に到達し、初めてのジョブクエストを完了する。ゲーム内での成功体験は彼女に現実世界での自信にも繋がる感覚を与えた。
リコは夜が更に深まる前にログアウトを決意し、現実世界に戻る。PCのスクリーンをオフにして、窓の外を見ると、静かな夜が訪れていた。
リコ :「今日は本当に楽しかった。明日もまた、現実とこの素晴らしい世界の両方で頑張ろう。」
彼女は心地よい疲労感と共にベッドに横になり、エオルゼアでの冒険を夢に見ながら眠りにつく。
・・・・・・
しかし、その安らかな夜の静寂を破るかのように、彼女のスマートフォンが突然、静かに震え始める。画面には表示されない番号からの着信が続いている。リコはその着信に気づかずに眠り続けるが、スマートフォンの画面には何者かからの警告めいたメッセージが表示されていた...
画面のメッセージ:
「気をつけて、リコ。ゲームの世界と現実世界の境界が薄れている。君の選択がこれからの両世界に大きな影響を与えるだろう...」
このメッセージはリコが目覚める前に消え、彼女はその警告を見逃した。
次回につづく
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