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小説「FF14光のお姉さん - 夢と現実の狭間で」第1話落ち込んだ日々

第1話(落ち込んだ日々)

美術館の事務所、夕方。リコがデスクで一人残業中。

リコは眉間にしわを寄せながら、パソコンの画面を凝視している。彼女のデスクの上には、散らかった書類が山積みになっている。画面上のデータは、今日中に提出しなければならない展示計画の最終案だ。

(リコ):
「うーん、これで大丈夫かな…。でも、どこかおかしい。時間がないのに!」

突然、彼女のデスクの電話が鳴り響く。リコは少し驚いた表情を浮かべながら受話器を取る。

(上司):
「リコ、その資料の進捗どうだ?明日の朝一で全スタッフに配布するから、今夜中にメールで送ってくれ。」

(リコ):
「は、はい!もう少しで終わりますので、すぐに送ります!」

電話を切ると、リコは深くため息をつき、ふたたびキーボードに向かう。

「え!」 彼女の手が少し震えているのが見て取れる。

画面に目を戻した瞬間、エラーメッセージが表示される。資料の一部が破損していることを告げる警告だ。

(リコ):
「えっ、なんで今になって…!」

リコは焦りを隠せず、再びデータの修正作業に取り組むが、明らかに時間に追われている。周囲はすでに静まり返り、残業で空いているオフィスには彼女のキーボードを叩く音だけが響く。

この緊張の中、彼女のスマートフォンが振動する。画面を見ると、彼氏からのメッセージが表示されている。

スマートフォン画面(メッセージ):
「リコ、今夜話があるから、会える?」

リコは一瞬、スマートフォンを見つめた後、重い腰を上げてオフィスを後にする。外に出ると、空はすでに暗くなり、街の灯りだけがぼんやりと道を照らしている。

(リコ):
「何の話だろう…。もうこれ以上、何もかもうまくいかない日にならないでほしい。」

彼女は不安げな表情で足早に駅へと向かう。その背中は、これから起こる大きな変化の予感に重く沈んでいる。

リコは駅のベンチに座り、落ち着かない心を抑えるために深呼吸を試みる。その時、彼氏が駅の改札から姿を現す。彼の表情はいつもと違い、何か重大な決意を固めたように見える。

(彼氏):
「リコ、ちょっと話があるんだ。正直に言うね。」

リコの心臓が早鐘のように打ち始める。彼の口調から、何か良くないニュースが来ることを直感的に感じ取っていた。

(リコ):
「どうしたの?何かあったの?」

彼は少しの間を置いてから、ゆっくりと言葉を選びながら話し始める。

(彼氏):
「ごめん、リコ。俺たち、もううまくいかないと思うんだ。お互いに目指すものが違いすぎる。俺はもっと自由に生きたいし、リコは仕事がある。」

リコの目から涙がこぼれる。彼の言葉は予想していたものの、実際に言われると心に深く突き刺さった。

(リコ):
「そんな…でも、私たちまだ…」

(彼氏):
「ごめん、決めたんだ。もう後戻りはできない。」

彼はそう言い残すと、立ち去ってしまう。リコはただ茫然と座り続け、彼の背中が見えなくなるまで動けなかった。

夜が更に深まる中、彼女は重い足取りで家路につく。家に着くと、ポストには両親からの手紙が一通。開けてみると、突然の婚約者の紹介と家族全員での食事会の招待が記されていた。

(リコ):
「なんでこんな時に…」

リコはポストの手紙を手にしながら玄関のドアに向かっていると、ふと足音が聞こえる。振り返ると、そこには大学時代の友人であるサエが立っていた。サエはリコの顔を見るなり、何か大変なことがあったことを察して声をかける。

(サエ):
「リコ?どうしたの?顔色が悪いよ。」
リコはサエに全てを打ち明ける―失恋したこと、職場でのプレッシャー、そして突然の婚約者の話。

(リコ):
「もう、何から手をつけていいか分からないよ。全部が重なって、押しつぶされそう…」

サエはリコを落ち着かせるように肩を抱き、近くのカフェに連れていく。二人はコーヒーを飲みながら、それぞれの悩みや夢について話を深める。

(サエ):
「リコ、大丈夫だよ。私たちはいつも支え合ってきたじゃない。お互い夢を追いかけるために、こんなに努力してきたんだから。」

リコはサエの言葉に少し元気を取り戻す。サエの励ましに心を強く持つことを決意する。

(リコ):
「そうだね、サエの言う通りだ。諦めてたまるか。」

リコはサエとの会話に夢中になっていると、突然スマートフォンが振動し始める。不吉な予感がする中、画面を見ると、職場の上司からの着信が表示されている。リコの心臓がドキドキと速く打ち始める。

(リコ):
「あ、ごめん、ちょっとこれ、出なきゃ…」

彼女はそわそわとしながら電話に出る。

(上司):
「リコ、今日の展示計画の資料はまだか?メールでの確認が取れていないが、何か問題があったのか?」

リコはその質問に凍りつく。彼女は、彼氏との別れ話に気を取られ、資料をメールで送るのをすっかり忘れていたのだ。

(リコ):
「す、すみません!今すぐ送ります!」

電話を切ったリコは、急いでサエに事情を説明する。

(リコ):
「ごめん、サエ!大変なことになっちゃった!資料を送るのを忘れてたの。急いで会社に戻らなきゃ!」

サエは心配そうにリコを見つめる。

(サエ):
「大丈夫?一人で行くの?」

しかし、リコはすでにカフェから飛び出し、慌てて駅へと向かっていた。夜の街を駆け抜けるリコの足取りは速いが、駅に着いた時にはすでに終電の時間を過ぎていた。

(リコ):
「終わった…もうダメだ…」
彼女はホームでへたり込む。全てがうまくいかない一日だった。

次回に続く…

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