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「リビングにアリ塚は必要か?」ヒスイの清潔マイルールです。

これまで数々のダメンズ、普通メンズと付き合ってきたヒスイですが
みな共通で言うのが
「お前の部屋、物がなくてガラッガラだな」
「掃除しやすいよ、清潔でいいじゃん!」

と言い返していたのですが、
メンズどもが帰った後あらためて部屋を見ると
なるほどガラッガラ。

ワンルームに住んでいた時は、ソファベッドに折り畳み式のローテーブル。テーブルの上にPCが置いてあるだけ。
衣類はおもちゃみたいなクローゼットへ、本はキッチンの食器棚に入れていた。
理由は、食器棚の半分がカラだから(笑)。

清潔です。
掃除はしやすいもん、ガラッガラだから(笑)。
そんな暮らしをしておりまして、
昨年、ふとしたことから同居人ができました。
いちおう彼専用の部屋を作り、リビングには二人とも物を持ち込まないと決めました。

で。
この男がまあ、
散らかすんです(笑)。
同居人の部屋をのぞいたとき、つい叫んじゃった。

「すっごい! アリ塚みたいだね!」

6畳の部屋には、にょきにょきと本、CD、DVD
仕事用の紙資料などが
約70センチの高さに積み上げてある。
まさにアリ塚。アフリカとか行ったことないけど、
テレビで見たアリ塚(笑)。

これが合計6本ありました。
本棚にも仕事上の資料がびっしり(同居人はフリーランスです)。
床は見えます。隅にはホコリもある。
しかしアリ塚の真ん中に座った同居人は
非常に快適そうな顔をしているのでした。

清潔と快適は、両立する
それはヒスイにとって、
天地がひっくり返るほどに
斬新な考えでした。

ケロの理想の部屋は、これだそうです。
なお男性はあくまでもイメージです。ケロにしては細すぎる(笑)
(UnsplashのJulio Rionaldoが撮影した写真)



<゜)))彡 <゜)))彡 <゜)))彡

ヒスイ母は潔癖症です。
実家は母が日に2回、掃除機をかける。
リビングはフローリング。カーペットを敷かない理由はホコリがたまるから。床は3日に1回、水拭きと乾拭きをする。
カーテンは2週間ごとに洗濯。
キッチンはそれこそ毎日、換気扇までバラバラにして
ヴィネガー水をスプレーして拭き取る。

チリもホコリもない。ぴかぴかの家でした。
ぴかぴかの理由は、ヒスイ弟。
ヤツはアレルギー体質で、ぜんそくリスクが高かったため、
ハウスダスト及びカビがないように
母は徹底的に掃除していたのでした。

そんな環境で育ったヒスイは
『清潔=物がない状態』という考えが基本でした。
だから部屋に物がない。
物がないから清潔。
だけどちょっと、暮らしづらい。
というか、
我ながら『寒々しい』気がする……
清潔だけど、快適さがない感じなのです。


たとえば親友のMちゃんはオシャレに命をかけているような人で、
部屋はすみずみまでセンスのカタマリ。
テーブル、椅子、デカい観葉植物に
ふわふわのカーペット、壁にはオシャレなポスター。
でも椅子には、さっきMちゃんが脱いだコートがポイっておいてあって、
それがまた、
居心地よさを作っている。

温かい。
ヒスイの部屋とはちがうのです。
あたしなら、コートは玄関でしまっちゃう。
床のふわふわカーペットは即はがして、
フローリングにしてゴシゴシ拭きまくる。
部屋のすみのランプを片付けて
明かりは天井からの蛍光灯でいい。

そのほうが、掃除が楽だから——。

Mちゃんの部屋は、ホントにこんな感じ。
オシャレすぎて、腹が立つ(笑)
(UnsplashのYehleen gaffneyが撮影)

そうなんです。
いつのまにかヒスイの生活基準は
快適さより『掃除が楽』という一点に集約されていたのでした。

これ、実家にいるとあまり気づかないんですよ、
家族全員が潔癖症の母のもとで暮らしているわけだから。
だけど一歩、家を出ると、
実に多彩な一人暮らしスタイルがある。

玄関から部屋までずらりと本を積み上げていた人もいるし、
出窓にビール缶を並べている人もいたし、
洗濯ものはハンガーで干して、乾いたらラックにかけておしまい、って人もいました。タンスが要らないですね(笑)。
一年中コタツで暮らしている人もいた(笑)。

それぞれのスタイルがあって、それなりに清潔で
まあ、そうじゃない人もいたけど(笑)
でもだいたいにおいて、みんな『快適そう』だったのです。

『あたしんち、清潔だけど、快適そうに見えないな……』

これが、ヒスイの悩みでした。


<゜)))彡 <゜)))彡 <゜)))彡

ヒスイの悩みを打ち砕いたのが、
同居人のアリ塚部屋(笑)。
なんだよ、毎日の不用品回収タイムをつくらなくても、
人間って生きていけるんじゃん。
(ヒスイは毎日15分ゴミ袋をもって部屋を回り、不用品を見つけては捨てるのが日課です(笑))
カーテンの洗濯って、月に1回で十分じゃん。

ほどよく掃除して、自分が満足できるレベルの清潔さを維持しておけば、
あとは床が見えないほど服が積み上げてあったり、
古本屋へ売るつもりで棚から出した本やDVDや
おもちゃのミニカーが、箱詰めの途中で放置してあっても。
本人は快適なら、それでいいのです。

生活空間の温かみとは、
住んでいる人が幸せに感じる形を維持していれば
おのずから生まれてくるもの。

清潔=物がない=とにかく物を捨てる、という
修行僧のような思い込みより、
自分が気持ちいい清潔環境を作ることに集中したほうがいい。

ということを、
同居人のアリ塚は、教えてくれました。



現在、リビングにはジワッと、アリ塚が侵食しつつあります。
DVD塚です(笑)。
が、ヒスイは何も言わない。
なぜなら、そのアリ塚は
ヒスイが生まれて初めて作った
『ヒスイのお気に入り映画DVDタワー』だからです(笑)。

イメージ画像(笑)
実際は40センチの高さになっています。
(UnsplashのAlfred Kenneallyが撮影)


DVDタワーの周辺および天井は、
もちろん毎日モップ掛けする。
週に2回は、我慢できずにアリ塚ごと移動させ、床を掃除しまくる。
これが今のヒスイの感じる
『清潔:快適』のバランスです。


いたって、倖せであります。

同居人はリビングのアリ塚をもう一本増やそうとしているが、

そこは断固
阻止するつもりであります(笑)。

【了】

本日はnote公式の企画
「#清潔のマイルール」に参加しています。
作中の画像は、すべてアンスプラッシュからお借りしております。

では、また明日、お会いしましょう!
なんてったって、明日は土曜日ですからね。
毎週ショートショートnoteの日でーす!
ヒスイ渾身の410字を、お楽しみに💞

ヘッダーはUnsplashShannon Potterが撮影した写真


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