見出し画像

「理科室は、曲がりたい」ヒスイの410字、毎週ショートショートnote

明日は卒業式。
今夜は『特別教室』が集まる日だ。
僕は『理科室』。体じゅうでビーカーや試験管やフラスコが鳴っている。
もっと軽やかになりたいよ……。

最初に来たのは、金色の音がたなびく『音楽室』。
彼女は僕を見て、
「ねえ。最近の『理科室』、ちょっと曲がってない?」
僕はぎくりとする。
続いて『技術室』も、

「いまT定規で測定した。歪んでいるぞ、お前。まさか……」

くそ、ここまでか。俺は言った。

「もう少し自由になろうかと。『音楽室』みたいに」
「まあ、だめよ! 理科室は事実を積み上げる場所よ。一瞬の揺らぎで消える音とは違うわ」
「だけど君の軽やかさや『技術室』の堅実な反復動作に憧れるんだ」
「どうかな。事実から推測へ華麗にジャンプできるのは理科だけだろ?」

夜空を見た。星のひとつずつが、別々の色をもって輝いていた。

「来年も『理科室』で行くか」

彼女はニコッと笑った。
あ、惚れられた? 何しろ僕はスジの通った『曲がらない理科室』だからさ……。

【了】(改行含めず410字)

今日もたらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
お題は「理科室まがった」(笑)。
ヒスイももう、曲がりたかったです(笑)。

へいちゃんは裏お題にもチャレンジ!
裏お題は「イカ室たぎった」(笑)。 これももう、すさまじいお題です(笑)。
チャレンジしたヘイちゃんがすごいと思うよ。


ではまた、明日のヒスイ日記でお会いしましょう!

ヒスイをサポートしよう、と思ってくださってありがとうございます。 サポートしていただいたご支援は、そのままnoteでの作品購入やサポートにまわします。 ヒスイに愛と支援をくださるなら。純粋に。うれしい💛