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「うるさいよ、この無音!!」ヒスイの毎週ショートショートnote 410字

「実は僕、結婚し――」

彼がここまで言った時、カフェのBGMがとぎれた。
信じられない! マスターの選曲だのみなのに。

案の定、彼は黙ってしまった。
うーん、この先が『超重要なポイント』なのよ……。
お願い。はやく音をちょうだい。




「実は僕、結婚し――」

ウソだろ、ここで音楽が止まる?
雑音ねらいで選んだカフェなのに、店内は全くの無音。

彼女はさりげないフリで、全身を耳にして僕の言葉を待っている。
くそ。この先は『音にまぎれる』ことが大事なのに……。
頼むよ、何か音をくれ!


マスターは無音の進行をはかっていた。やがて音を立てて、皿にスプーンを置く。
店じゅうが息を吹きかえした。
話し声、椅子を引く音、そして彼の一言。

「実は僕、結婚してほしくて。婚姻届も用意したんだ」

彼女はガバッと立ち上がった。

「ハイ、身柄確保! 結婚詐欺、重婚罪の容疑です!」

カフェじゅう、割れんばかりの拍手だ。

みごとな逮捕劇。
かかった時間は4分33秒だった。



【了】(改行含めず404字)

本日も たらはかに さんの #毎週ショートショートnote  に
参加しています。
お題は「カフェ4分33秒」。


どういうふうに書こうか、
いろいろ考えた1週間でした(笑)。
何しろ、切り口がたくさんある。

他の方の作品を読んでみると、
たらはさんの記事にもあるように
アメリカの現代音楽家、ジョン・ケージの名曲?
『4分33秒』を取り入れているものがおもしろかった。


ジョン・ケージはアメリカの現代音楽家です。
さまざまな実験的な作品を作曲していますが、
中でも有名な『4分33秒』は、
タイトル通り、4分33秒かかる
1~3楽章のあいだ、演奏者は
音を出してはいけません。

ステージ上はまさに『無音』なのです。

この曲は、いろいろなミュージシャンが演奏していますが
ヒスイが知り合いのクラシック奏者に聞いたところによると

『この世にある、どんな難曲よりも
 演奏中に嫌な汗をかいた難曲』だったそうです(笑)。

ジョン・ケージ自身はこの曲のテーマについて、

『会場内の偶然的なアンビエンスノイズを
 聴取するという方向性』を訴えたかったとも 言われています。

無音の4分33秒は、
その場にいる聴衆と共に
生きている音、現場にいる人にしか聞こえない音を
ひろって、味わおう、という
現代音楽らしいコンセプトに基づいているのです。

どうじにケージは
『沈黙=黙祷』の気持ちも
表現したかったようです。

声を出さずに祈ること。
祈りを、その場にいる演奏者、聴衆とともに
体験すること、が目的の
4分33秒なのです。


ちなみに、ジョン・ケージは
さまざまな音楽に対するアプローチのひとつとして
『8回目の春を迎えた素晴らしい未亡人》』という曲も
作っています。

この曲では
ソプラノ歌手とピアノがステージに並びますが、
ピアノのふたは最後まで、開きません。
演奏者は歌に合わせてピアノのあちこちを叩いて
伴奏をします。

ここでも、ジョン・ケージらしい
『多彩な共生』がテーマになっていると思います。


とまあ、こんな感じで。
ヒスイの『カフェ 4分33秒』は出来上がりました(笑)。
相方、へいちゃんは
裏お題「パフェフンフン33秒」(笑)
にもチャレンジしていますよ!

猫好きとしては
たまらぬ4分33秒です。

ほんとにできたら、ノーベル賞もんだよ、これ(笑)



さあ、
明日はシロクマ文芸部の日です!
ヒスイ、ちょっと予定が詰まっていて、
時間に間に合うか 微妙なところですが(笑)

お楽しみにどうぞ💛
フンフンフーン♪



ヘッダーはhttps://note.com/heita3rd/n/n5dab550f7416

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