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「色のないものに、形をつける」ヒスイは一穂ミチの短編が好きだ

今日の話は「つまり、非色のものがすき」です。

「非色(ひしょく)」という言葉は、あまり聞かない単語ですが、
どうも仏教用語らしいです。
色に非ず、ということで
目に見えないもの、物質的な要素がないものを指す言葉だとか。

まあ、いろんな解釈があるでしょうが、
ヒスイは「まだ、色になっていないもの」という意味もあるかなあと
思っています。

生まれたての子どものようなもの、
意味合いをつけられていないもの。
という意味かなあと。

世のなかには、これからどうなるか分からないものがたくさんあって、
そんななかで
「これは、先々、華麗な色になるだろうなあ」と思うものに出会ったりすると、
それだけでワクワクします。

ヒスイが、この数年、ずっと追いかけ続けている作家さんが、
ついに直木賞を取りました。

一穂ミチさん『ツミデミック』。

世界にはうなるほどの作家がいますが、ヒスイの知る限り、
今の日本で「皮膚に沁みとおるような、形のないものを形以上に描ける」作家は、一穂ミチをおいて、ほかにない。

いや、いるかもしれないけど。
ヒスイには、いらない。
一穂ミチがいたら、それでいい。

それくらい、ハマりにはまっているのです。
そもそもは、これでハマりました!
「スモールワールズ」一穂ミチ

それぞれ、事情のある家族を描いた短編集でした。
ヒスイはこれで、短編のもつ巨大な力に気づいたと言っても過言ではありません。

一編一編が、カッキリした重さを持ち、
それでいて、ほの明るい読後感がある。

読んでいる途中も、読み終わってからも
温かい感覚を引き寄せられる短編集なんです。
たしか、これも直木賞の候補に挙がっていたんじゃないでしょうか。

結果として直木賞は逃したけれども、
吉川英治文学新人賞をとった、と記憶してます。

やはり、いいものは複数の場所で評価されるなと
思ったものです。

そして今回、ついに直木賞。

とるよ、とるでしょう。
ていうか、あたしゃ「スモールワールズ」以降、
今回はとるぞ、今回はとるぞ!って
ずっと思っていましたもん。

もはや、面識もない一穂ミチさんを、親戚の距離感で勝手に応援するヒスイ(笑)
ファンとしても、かなりヤバいレベルです(笑)

だけどね。
それだけの価値があるの。一穂ミチの短編には。

丁寧に描き出す多面体は、各面のすべてに、完璧な配慮がされていて、
読み手に、生きる力をくれる。
こんな自分でも、生きてていいんだって
思わせてくれるのです。

ああ、よかった。
だから。

短編小説って、読むのも書くのも。

見ないようにしている傷をふさいでくれるものなのね。

うれしいです、直木賞。
ヒスイがとったんじゃないけど(笑)
自分がとる以上に、
すごい、嬉しい『一穂ミチ 直木賞』受賞でした。

ヘッダーは、ヒスイのとった紫陽花。
まだ色がついていないのね。
何色になるのか、想像するだけで
気分はもう、非色の一穂ミチだ(笑)

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