「宣伝すべし、秘密警察！」ヒスイの毎週ショートショートnote

僕の女友だちは、だいぶ、あぶなっかしいタイプだ。今回もヤバい男に引っかかっている。
僕は男を調べて、さりげなく彼女に証拠を見せた。

「だからさ、あの男は無職で借金あり。ロマンス詐欺の常習者だ、やめておけよ」
「え、そうなの？　なんでわかったの？」

僕は胸をそらせて、
「ま、『秘密警察』が起動したってところかな」
「秘密裏に他人を調べたの？」
……そして彼女は行ってしまった。秘密の調査なんて、やめればよかったな。


二か月後、彼女はさっそうとあらわれ、
「準備完了。さあ、仕事を始めましょう！」
「し、仕事？」
ひらりと名刺を出し、
「二人で探偵社を始めるのよ。さっそく宣伝よ！」
「あの男は？　ロマンス詐欺の……」
「あれはオトリ。あなたの調査能力を調べたのよ。ついでに私に対する本気度も。おめでとう、ぜんぶ合格よ！」

……つまり、僕の秘密警察はぜんぜん秘密じゃなかったわけ。
さーて、探偵社の宣伝にかかろうか！　あ、結婚式の準備もね。



【了】（改行含めず404字）


本日も　たらはかに　さんの　＃毎週ショートショートnoteに参加しています。お題は「秘密警察を宣伝してみる」(笑)。
アカンがな、宣伝したら(笑)。

へいちゃんのは、こちら。
王道・正道、かちっと作りこんであるのに
最後にクスリと笑っちゃう短編です。

明日はたぶん、シロクマ文芸部に参加しますー！
ではまた💛