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見栄っ張りの嘘

  ある程度ぼかして書くのですが。

 約18年前、中古の一軒家を購入しました。
 地元界隈では結構有名な大きな家で、10年以上、空き家になっていた家でした。
 うちが「買った」 となった時、驚いたのですがかなり話題になっていたそうです。
とは言え、中古物件です。

 その家は、どこぞの社長が建て、建てた当時は1億かけたと自慢していたそうですが、その後、競売に掛けられ、不動産屋経由で購入したという流れでした。

 驚いたのですが、家にはホームサウナがありました。
 入居後あっさりと、おばあちゃんが
「これいならい」
 と言って配線を外してしまいました。
 (アンペアの設定大きいと料金高くなるので)
 今はただ、サウナという小部屋が物置にされています。

 今でもそうなのですが。
 買った当時はやっかみが酷くて大変でした。
 後から後から
 あの家は私が買うはずだったとか
 今まで一度も耳にした事がない、幽霊話まで飛び出す始末。
 以前の持ち主は海外系のお店もやっていたとかで、外国人も何人か住んでいたらしい、という話でした。

 家を買って4年程経った頃、私はある強制集会に行きました。
 元気な人達ばかりでその集まりに全然馴染めませんでした。
 その中に、何年か前に見かけた時は臨月だった女性がいました。
 強制集会の時は普通の体型でした。

 キレイ目の人でしたが、いつもツンツンしていて、顔に意地悪さが滲み出ていて、私とは完全に合わないなと言う人でした。

 後から聞くと、周りの人にも余り良く思われてはいない方だったようで、私も自分から進んで嫌な思いはしたくないので、話し掛ける事はありませんでした。

 2回目の強制集会の日。
 私はいつもの様に当たらず触らず、無駄口も叩かずにその場にいました。

 するとその元妊婦の方が、突然私に、何の脈絡も無く話し掛けて来ました。
 何の話かと言うと、私の家の話です。
 その人(以後ツン子とします)
 ツン子が
「私、お宅の家を買おうと思ってたんだけど、問い合わせをしたら、もう買い手が付いたって言われて買えなかったのよ」
 と口調が嫌みタラタラ
 こちらとしては、だから何なの? と言う話で。
 いきなり話かけて初トークがそれ? となったわけです。

 相変わらずツンケンしています
「あーそうですかー」
 と言うしか無く、何か話をそらしたいなー、と思い。

「あ、お子さん大きくなられました? 二歳くらいですか?」
 と聞くと。
「目を大きくして、うちは子供2人です!!!!!」
 それは知っている、以前お腹いた子の話を聞いているのだけれど?
 と思い「え、でも前に・・・」 と言うと
「うちは子供2人です!!!!!!」
 と更に目を剥き、ムキになり食ってかかられました。

 あ、もしかして私マズいこと言っちゃったかな・・・。

「あぁそうですか~」
 と、困り顔で返答し、その話はお開きになり、ツン子は更にツンツンプリプリしてどこかに行ってしまいました。

 いや、なんか・・・。私も悪かったかもしれないけれど、何の脈絡もなく、嫉妬ともひがみとも嫌みとも付かない、しなくてもいい話をしてこなければこんな事にはならなかったんだぞ。
 と、心の中で思っていました。

 お互いに嫌な気分になったでしょうが、巻き込まれ感が半端ないです。

 その後、この話の後日談はと言うと。
 以前に書いた
「嘘つきは忘れた頃にやってくる」
 に登場したH子がそのツン子と繋がりがあり、聞かせて貰った話です。


 H子もH子で信用ならないので話半分ではありますが。

 ある日、H子が 「翡粋さん翡粋さん、ツン子の事好き?」
 と聞いてくるので、あぁまたかと。

 本人に知れても全く問題はないので
「嫌いだよ」
 と、答えました。すると。

「あのね、前、ツン子がママ友の集まりで言ってたんだけど」
 と話し出しました。

 ツン子の話によると、
(今の私の家を)買おうと思って手付金を払ったんだけど、先に私に買われてしまって買えなかったんだ。

 とみんなの前で言っていたそうなのです。
 驚きました。
 手付金を払っていたら私が買える訳がないです。
 問い合わせをした時に誰も買い手がいなかったからうちが買えたわけなんですよね。

 不動産屋だって信用問題になるでしょうから、手付けを払った人を差し置いて後から来た人に売るなんてあり得ないでしょう。
 100歩譲って、私が割り込んだとして、不動産屋に契約を度外視してもらえる私ってどんだけの人なんでしょう。

 家族にその話をしたら
「は? あっちが手付け払ってたら、うちら買える訳ないでしょ。頭おかしいんじゃね」
 と言っていました。

 なんなんですかね、そんな嘘をついてまでの見栄と執着って怖すぎます。
 わざわざ言わなくてもいい嘘を繰り出す精神、ヤバいでしょ。

 その日のH子との話は、私がムカムカして終わりました。

 その後、スピンオフな現実的な怖い話と、心霊的な怖い話、二つの方向に広がりをみせるのですが。

 取り敢えず、次回は現実的な怖い話をしようと思います。