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ヒストリカル アーチェリー クラブ ジャパンについて

歴史的な弓矢の研究とスポーツとしての実践

我々のクラブは西洋史における弓矢、特にロングボウやクロスボウなど中世期の古洋弓に焦点を当てた、スポーツ射撃と、歴史研究の両立を目的とした小さなクラブです。

アーチェリーの源流は中世イギリスのロングボウ?

現代アーチェリーの源流には間違いなくメディーヴァル ロングボウ (イングリッシュ ロングボウ) があります。
ロングボウはイギリスのお家芸ともいうべき長弓で、中世のイングランドとウェールズのロングボウ部隊が華々しい数々の戦果をあげました。

中世も終わりを告げたチューダー朝のイギリスで、王のヘンリー8世が開催した射撃競技会が、現代アーチェリーの始まりとも言われています。
彼自身も強弓のロングボウを引いた事で知られています。

(メディーヴァル ロングボウ)

戦の道具からスポーツの道具へ

弓矢というものはそもそも狩猟の道具であると同時に戦いの道具でもありました。

(イギリスの博物館所蔵品と同様の15世紀クロスボウの歴史的複製)


戦いの道具といえば血なまぐさく感じるかもしれませんが、フェンシング、剣道、弓道、柔道、競艇、競馬や馬術、槍投げなど、もとは全て戦いのための鍛練や技術競争がスポーツになったものです。


弓と矢はそもそもとてもシンプルな道具でした。
シンプルがゆえに、効果的な射撃を得るまでにはそれなりの訓練と力量を必要としました。

(16世紀、重戦矢の研究と再現)


時を経て現代。
アーチェリーは最新の科学を駆使した近代的な弓を使用し、的に矢を当 (中) てて点数を競います。
道具も目覚ましい進化を遂げ、完璧で素晴らしいスポーツとして昇華しました。

「スポーツ」という部分に焦点を当てて進化した結果、外観も機能もスポーツに特化したものに変わりました。
歴史の中にある本来の弓矢とはややかけ離れた存在になり、現代アーチェリーの弓矢から歴史的な部分を読み解くのは難しくなってしまいました。

和弓道もまた、日本古来の伝統的な様式や作法、精神鍛練に重きを置く「武道」なので、特に西洋の歴史的な部分を読み解くのにはおそらく困難を伴うでしょう。

弓矢を引き、歴史を学ぶ

ヨーロッパの中世と呼ばれる時代の、生活の為の狩猟や、貴族のハンティング (狩り) がどの様に行われたのか、戦いにおいて弓矢がどの様な役割を果たしたのか。
弓矢はどういう場所でどの様に変遷していったのかなど。
歴史好きが高じて興味を抱くようになり、現代アーチェリーや和弓道からではなかなか読み解く事の出来ない、戦術や技術、その国の文化的側面などを読み解き、弓矢が塗り替えた西洋の地図や歴史の本質を、より学びたいと思う様になりました。

(英仏の百年戦争、1415年アジャンクルール/アジンコートの戦い、ロングボウ部隊)

歴史的/伝統的な古洋弓を、あくまでもスポーツとして引くことにより、精神修養と健全な肉体作りを目指し、さらに古い弓矢を通じて変遷してきた西洋の歴史、その国の文化を学び、それが弓矢と共に歩んだ人類の歴史の研究にもなればと思い、「ヒストリカル ボウ クラブ ジャパン」を2020年に発足し、2021年現在「ヒストリカル アーチェリー クラブ ジャパン」と名前を改めました。

現代スポーツアーチェリーや和弓道の、精神、技術、作法に最上級の敬意を払いながらも、両者とは違った弓矢の世界、「歴史的な古洋弓」を深めてゆく事ができれば幸いです。

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