カタルシスを招く看護師

とある患者のカタルシス

今日は入院して3ヶ月が経とうとしている左不全麻痺のある比較的若い女性とゆっくり話すことができ、カタルシスを見た。
別に私がどうこうしたから偉いという訳ではなく、患者さん自身が話したかったのだと思う。患者さんをKさんとしてやりとりを振り返ろうと思う。

Kさん「まだ50代なのに、左側が全く動かなくなって、これから家に帰ったらやっぱり息子やヘルパーさんの手を借りていかないといけないと思うと先が思いやられるね。」

私「Kさんはこれまで女手1つで子育てと仕事をしてきたので、とても責任感が強い方ですよね。人に頼るのはとても気疲れするのかなと思います。」

Kさん「そうよ。還暦を迎えたら、ゆっくりするつもりだったのに。どう頼って良いのかしらね。。」

私「回復期病棟に来て3ヶ月、Kさんは1人で車椅子やトイレに移ることができ、今は支えは必要ですが1人で歩けるように残りの3ヶ月で底上げするそうじゃないですか。とても心が強い人だなと思います。息子様もコロナ禍なので会えないですが、電話口でお母さんのことよろしくお願いしますと言ってますよ。つまり病棟の看護師や理学療法士さん、息子さんとKさんのことを想っている人はたくさんいるということです。頼りたい時は頼ってくださいな。Kさんに頼られて嫌に思うことはありませんから。」

Kさん「ありがとうね。。たまにすごく不安に思うことがあったから、聞いてほしくてね。」
(涙と間)

私(ここでレジリエンスを思い出す)
私「実は私も、職場とプライベートを含めて5人の頼ってもいい人を作るようにしたら、楽になった経験があるんですよ。」

Kさん「そうなの?真面目だなって思ってたからあんまり人に頼らないと思ってた」

私「Kさんは今、5人の頼ってもいい人はいますか」

Kさん「昔は友人も多かったけどね、今言われたらやっぱり家族と看護師さんやリハさんよね。だから退院したら頼る先減るのかなって」

私「自宅に帰る前は、どこまでができること、どこから手伝いが必要なことを把握した上でサービス調整の時間もあります。そこにはもちろんKさんも含むので、Kさんの不安は言っていきましょう。私も今日のことは記録に残すので、安心してください」

Kさん「そうなの。それなら良かった。もう1つだけ、わがまま言って良いかな。食事の時、食堂で他の患者さんがいる中でご飯食べるでしょ。なんて言うか、凄い高齢の方達や認知症のある人達の中でご飯食べるのは、私も同じなのかなって悲しくなるのね。。」

私(気持ちを察してやるせなくなる)
私「そうですよね、、すみません。察するのが遅くなってしまって。無理に食堂でご飯食べる必要はないですよ。お部屋で食べれるようにこれからはしましょう。」

主任、部屋担当の看護師へ申し送り、夕食時の会話。

Kさん「みんなに伝えてくれたのね。久しぶりに食事が美味しいと思えたわ。ありがとう」


Kさんはこれまで女手1つで子育てと仕事をこなしてきた責任感の強い女性、理学療法士からなるべく離床を促してADLをあげたいという気持ちをKさん自身が察して、頑張らなければという想いから本当は嫌だなという気持ちを圧し殺していたのだと思う。
ここからは私の考えだが、責任感の強い人は嫌な事から逃げるという行為を先伸ばしにしてしまう傾向にあると思う。それが悪いという訳ではなく、頼っても良い、逃げても良いと気づける環境を作る大切さを学べた。
改めて、Kさんに感謝したい。

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