ライヴ『昼休みすぐ図書室行く人達』3/4 ラスタ新宿
ラスタ池袋という小さなイベントスペースで、毎日、寄席が開かれている。
先月、池袋の街を歩いていたら、あちこちで必死に呼び込みをしていたので、半ば同情してしまって、観に行ったのだけど、内心、変な絵でも買わされるのではないかと、気が気じゃなかった。
いざ、着いてみれば、そこは絵を買わされそうな雰囲気こそなかったけれども、やっぱり、変な空間ではあった。
小さなステージと少数の客席。
出演者の総数よりも少ない来場者。
勿論、出てくるのは、知らない芸能家ばかり。
だけれども、案外に面白かった。
『昼休みすぐ図書室行く人達』は、その寄席で、告知されていたライヴ。
正直、そんなに観たいと思っていた訳でもなかったのだけれども、何となく、Twitterで検索してみたら、やっぱり、必死に宣伝されていたので、またちょっとだけ同情してしまって観に行った。
考えてみてら、狂言以外の笑いを、自発的に観に行くのは、初めてだ(狂言だって、能のついでに観ている程度だし)。
出演者は全員、ピン芸人というくくりになる人達のライヴで、今回が第1回目の公演との由だった(あくまで次回があればだけれども)。
出演は総数13人。
アユチャンネル、
Yes!アキト
笹川ともき
村民代表南川
ちびシャトル
ディープインパクト仲松
膝小僧お仕置きストしんぺー
ひょろし
ヒロ・オクムラ
藤原直樹×藤原直樹
堀川ランプ
山本マリア
レッドブルつばさ
行ってみて、何より驚いたのは、出演者よりも、観客の方が、僅かだけど多かった事。
十五六人というその人数が、何だかとっても多いと思った。
今回の出演者の内、三人は、前回観ていた人だったのだけど、客席にいる人たちの中にも、前回見覚えのある人が何人かいた。
常連なのか、或いは出演者のファンなのか、如何にも場馴れしている風だ。
見覚えのない周りの人も、やっぱり、如何にもこの会場の空気感を知っている風で、実際、みんな、よく笑う。
観客という役割を確りと果たしていて立派に見えた。
笑わせるのが好きな人達の周りには、笑うのが好きな人達が集まるらしい。
それは、当たり前の事なのだろうけれども、とても優しい世界だな、と思う。
だから、新参者で、何の心構えもなくに来た私でも、無理せず居場所はきちんとあった気がした。
ここは、とても小さなコミュニティという気もするけれども、余所者にも優しい、疎外感のない箱なのだ。
今回、観るのが二回目の人達。
◎膝小僧お仕置きストしんぺーという人は、一貫して一つの型で勝負する芸風で、前回は、正直、呆気に取られたのだけど、二度目にして、既に様式美すら感じさせられた。
確立された型があり、それを共有した上で、初めて面白味が沸いてくる。
何かが面白いと感じる時は、多分にそういう共有の要素が強いものだけど、この人の芸風は、その極北みたいな感じがして、ちょっとストイックだなと思う。
◎ヒロ・オクムラ。この人は、兎に角、早口。
ただ早いだけではなくて、言葉が聞き取りやすいし、機転もとても利くらしくて、共演する人が得をしそうな、話達者。
一方的に捲し立てて、イマジネーションを膨らませるよりも、対話の面白さが際立っていてたから、何となく、もっと群れてる所が観てみたい気がした。
◎藤原直樹×藤原直樹。今回、ライヴを観に来たのは、この人の告知があったからこそ。
切り抜いたフリップから口だけ出して喋る場面が何度かあるのだけど、その時に、口の動きだけがやたらと強調されて見えてしまって、シュールというかちょっと恐い。
多分、それは全く意図した効果ではない筈で、だからこそ、柔らかい雰囲気とのズレが可笑しくて、何だかもう一度観たいと思った。そして、やっぱり、恐かった。
他の初見の人達では、滅茶苦茶、面白い人が二人いた。
反対に、ああ、この人のやろうとしている事は、初見ではちょっと掴みきれないな、という感じの人もいる。
華がある人もいれば、陰のある人もいるし、何だか地味な人もいる。
そして、その地味な人が一番面白かったりもする。間合が良いんだな、きっと。
ある種のリミッターが壊れている人は、その振れ幅だけでも面白い。
反対に、面白くなかった人は、、、今回はいなかったかな。
こちらの頭が付いて行けなくて、後から、あぁ、そういう事かと分かる場面が何度かあって、そのタイムラグの分だけ、寧ろ、申し訳なさがあった。
『昼休みすぐ図書室行く人達』第二回があるなら、また観たいと思う。
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