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思い出したこと

私は音楽と映画とラジオがすごく好きだ。
私はすごく耳が良く、いろんな音をたくさんキャッチしてしまう。
今年も色々目まぐるしい中でも制作しながらとか映画をよく見ている。
今見たのは「夜空はいつでも最高純度の青色だ」
石井監督の作品は物凄い人間であることが楽しいなあと思わせてくれる。
いろんな視点の観察力がすごく楽しい。
まるで本の中に入っているような、セリフまわしも一周回って天才だなと思った。
冒頭のあたり病院で若い女性が亡くなりそのご家族が悲しんでいて看護婦さんが廊下で頭を下げているシーンを見て、いろんなことを思い出した。
自分が20歳くらいの時に夜中にお父さんが吐血して、私がお母さんとお父さんを乗せて運転をして病院に連れて行った。お父さんは助手席で血を吐いていて、私は心臓が飛び出そうだった。でも「大丈夫だから前を見ろ。」と辛いながらもお父さんは私にいっていたこと。
それからお医者さんに「あと2日くらいです」と言われ、服の学校を卒業したてだった私は、服しか作れなかったので、急いで家に帰ってお父さんのジェケットのパターンをひいて布を裁断して、何もあげてなかったからどうにか生きてるうちに自分で作った何かをあげたいって思った。でも途中で2日じゃもう無理だって途中で気がついて涙が止まらなかったこと。
次の日、喉が渇いたと朦朧とするお父さんにお水をあげながら、お父さんに何も作れなかったと謝ったこと。ぎゅっと手を握ってくれて、そしたら今までついた小さな嘘や内緒にしていたことを話したくなって、全部話したこと。そしたらまた手を握ってくれて、もう全部お見通しだったのかなと思ったこと。
そしたら泣きながらうずくまる私を看護婦さんが来て私の肩を抱きしめてくれたこと。顔も名前もわからないけどずっと忘れない。

それからあっという間にお父さんは形が見えなくなったけど
死ぬまでしっかり生きていたお父さんを思い出した。

それから私は今を大事に大事に生きようになった。
そんなことを思い出した映画を見た。

お母さんの声が聞きたくなって電話をして「おやすみ」と言った。

今日も羊毛のことばっかりで生きている私は今ここに生きている。羊毛だったら2日あれば何か作れたのになあ。
この命はあったかいよ。すごく。

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