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都の花見
半年間のサバティカル、前期と後期とどちらにするかと考えたとき、暑いのと寒いのとどちらが嫌か、となると、やはり九州育ちの人間としては寒い方が嫌なので、前期がいいかなぁ、とまず思います。
京都の暑さ寒さは尋常じゃないよ、といろいろな人におどかされましたが、山口も盆地で似たようなところがありますので、さほど変わらないだろうな、と案外、高をくくっております(実際、気温を見ると近いです)。
もちろん校務ほか、諸々の理由で前期のサバティカルに決めたのですが、その大きな理由のひとつとして、やはり久足の愛した都の桜を見てみたい、ということがありました。
しかし予想どおりではありますが、まあ、人の多いこと。
それでも、有名な場所、通りはとにかく人であふれているのですけど、一本道を外したり、みなが乗るバスを使わなかったりするなど、導線を外すと、けっこう快適に動き回れることを知りました。
なにしろこちらは、久足を追体験するため、なるべくバス・電車も使わずに歩いて移動していますので、それが如実にわかるのですね。
お仕着せの導線にしばられている観光客とは他愛のないものだ、と自分も観光客でありながら、思ったりしております。
さて、ベタな観光地もしっかり押さえる必要がありますから、やはり円山公園の桜は見なければなりません。
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いや、さすがです。「祇園の夜桜」というぐらいですから、夜桜も。
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しかし人が多い! その来やすい立地と、この時期しかないという思いも相俟って、京都のなかでも、いまはここが一番多いのかも知れません。
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個人的にうれしかったのは、この光景。
久足は、花を見ずに飲み食いして酔っ払う花見客を口を極めてののしってますから、ぜひとも、その「花より団子」の酔客を見てみたかったのですが、それがかないました。
久足の悪口は、以下のとおり。
都の人のくせとして、都人の名にも似ず、酒のみものくひなどすることにのみひたぶるこゝろいれて、花見のをりもそのことをはなれて、花をのみめづる人などはすくなくぞ見えし。されば都のよもの花にすぐれてたふときことをも大かたはしらで、名所古跡のことなどしりたるひとはましてすくなくなん。かゝる人どもを、かばかりたふとき都にすませおくことは、いとくちをしきこゝちす。これをおもへば、「灯のもとくらし」てふよのことわざもうべなりけり、とあらぬことまでおもひつゞくるも、山の名の口さがなしや(*嵐山の「嵯峨」に掛ける)。かくおもふよしをその人どもにきかさば、わがさけをこのまぬよりのひがごゝろにて、なか/\みやびやかならず、ともいはんか。あなかしこ。
これは嵐山での記述ですが、基本的に、どこでも同じような慨嘆を漏らしております。
それにしても、久足のセレクトはほんとうにすばらしいもので、京都の桜もいろいろ選りすぐりの名所を記してくれているのですが、花の寺(勝持寺)の桜もそのひとつ。これは、ほんとうにすばらしかった。
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ここだけは、ぜったいに桜の時期に行きたいと思っていたので、万感の思いです。朝イチに行ったこともあり、人もさほどではありませんでしたし。
あと、やはり久足イチオシの善峯寺の桜と眺望も見事でした。
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しかし、桜はまだしも、眺望と庭園の見事さは、写真ではまったく伝わらないものだな、と実感します。だからこそ行く甲斐があってよいのですが、どんなに鮮明に撮れていても、写真(そして動画でも)あの空間はまったく再現されませんね。
正伝寺の庭、感動したなぁ。
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桜の時期の日曜日なのに、ほとんど30分近く、独り占めでしたから、ぼーっと心を解放しておりました。
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