科学計算総合研究所を退職しました

ご無沙汰しております.突然ですが私は本日から新しい沼です.

2019/05/01から2022/06/30なので,3年2ヶ月ほど在籍していたことになります.仕事で関わっていた皆様,長い間ありがとうございました.

前職には約2年ちょっといたらしいので,いちおう最長記録を更新した形となります(最長記録とは?)

今回の記事は前回以上にポエムなので,まぁ値段はつけずに行きます.

科学計算総合研究所のおもひで

なんだかずっとmonolishを書いていたように思えますが,思い返すと他にもNECと共同研究(論文出したので公開情報のはず)したり,いくつかのCAE系のコミュニティで発表の場を与えていただいたりと,これまでやったことのない経験をさせていただきました.

開発系研究者としては,monolishという比較的大きいプロジェクトを立ち上げさせて頂いて,数値計算で使う上での主要な機能に限ればきちんと形に出来たことは良かったと思っています.

主任研究員という割に自分の研究ばっかりして他の人の役に立てた自信は残念ながらあまりないです.
自分のプロジェクトのリードは出来たように思えますが,会社全体のテックリードとしては他の人が優秀だったこともあり,あまり機能できなかったように思います.

総評として,立てた目標に対する達成度のようなもので考えれば3年という年月に対して十分な"何か"を達成したとは思います.
開発をしてOSSを公開し,合わせて外部発表等をして名前を売ることなども一定の効果を得た気はします.

ただ,15人弱のベンチャー企業におけるプロジェクトマネージャとして,つまりベンチャーというゴールを持った集団の歯車の一つを担う立場として,正直どこまで機能できたのかは分からないです.正直あまり機能できなかった気がします.

HPCの一般的な考え方として,
「お前が10日かけて1秒しか高速化できなかったとしても,たくさんのユーザに使われて合計10日以上の計算時間の短縮に繋がれば勝ち」
みたいな考え方があります.加えて企業でHPCをする人間には,
「お前の給料で毎年サーバを増築するのとどっちが良いか?」
という命題もつきまとうかと思います.

私がベンチャーのHPCエンジニアである以上,両方を同時に満たさなければ合理的に考えて存在価値がないと考えているのですが,私の実力不足や,会社全体のゴールへの理解度の低さから,これが達成できそうにないと感じたのをきっかけに色々悩んだ結果,今回の転職に至りました.

今後 (転職先)

知人の紹介もあり,スマートフォン向けのソフトウェアの高速化業務をする会社に転職します.

画像処理は正直なところ素人ですが,まぁ組み込み現場の画像処理はHPCの本場だし,ARMのNEONなんかも一通りは分かるので,大丈夫だと信じています(自信は一切ない)

画像処理系の学会には出られるでしょうが,今までのようにHPC系のイベントに積極的に参加する機会は減るかもしれません.HPC系の学会で私を見かけたら温かい目で見て頂けたら嬉しいです.

今後 (数値計算ライブラリの開発)

monolishはricosjpのorganizationのもので,社内でも一部で使われているはずなので,積極的な開発からは降りようと思っています(メンテ等はする).

ただ,数値計算のソフトウェアに対する根本的な問題は私のライフワークだと思っているので,どういう形でも続けたいと思っています.

とりあえず絶対に続けるぞという強い意志をもってOrganizationを作りました.その名も IntegLAです.絶対に全てをIntegrateしてやるという強い気持ちを込めています.何だかサーチ・アンド・デストロイできそうな名前が気に入っています.

いまはコア部分の実装しかないですが,monolishが全くFFIを自動生成できなかった理由として,全部C++のためにCのABIがなかったことがあります.IntegLAではこれを根本から改善するために,CのABIをPythonで自動生成しようとしており,これの作りかけだけ今は置いてある状態です.

半年くらいしたらこれもリリースされるかもしれません.まぁ転職と趣味の開発をどこまで並行できるか分かりませんが,生暖かい目で見守って頂けたら幸いです.


それでは.またどこかで.

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