娘コン14:もしもデジタルマーケティングコンサルの父が受験生の娘をマーケティングしてみたら(14)

投稿間隔が空いてしまい、申し訳ございません。

このシリーズは今回が最後になります。
なぜならば、娘をコンサルする事が出来なくなってしまったから。

それは突然訪れました。

娘は順調に受験勉強を続けていました。
コロナ禍にもめげず、予備校の自習室に通っていました。
移動時間もアプリを使い、隙間時間をうまく活用しているようでした。
しかし、受験勉強は思うようには捗っていないようでした。

夏のある日、娘は母親に何か相談していました。

母親「自分で決めたんだから、ちゃんと自分の口で伝えなさい」
娘「・・・」

この時点で、コンサルとしては失格です。
相談しにくいコンサルではうまくいくはずがありません。
そもそも、コンサルティングは利害関係があってはうまくいかないのです。
一緒に暮らしていて、お金を出す立場で、父親で。
年頃の女の子が素直に相談できるわけがないですね。
親は、素直になれずに反発してきても、いつも通りに接してあげて、広い心で受け止めてあげる存在でなくてはいけないのです。
家でいちいち改善点を指摘されては、心の安まる場所がなくなってしまいます。

同じ事でも第三者に言われると素直に受け入れやすくなります。
SNSは口コミという第三者の意見が受け取りやすいことも普及の一因です。

結局本人の口から聞くことはできませんでしたが、母親いわく、今の志望校では全然点数が足りないので、志望校を変更したいということでした。
たしかに、今のまま本番を迎えれば、合格点には程遠いことは、私も本人もわかっています。
ただ、今までの成績の伸び率を考えると、試験当日までに間に合わせることは十分に可能です。
しかし、娘はかなり焦っていました。実際、最近の試験の点数は伸びていません。このままでは、受かる大学なんてないとまで考え始めています。
私が着目していたのは単純な点数ではなく、勉強した範囲とその範囲での得点・偏差値の推移です。
ここに着目すれば成績は目に見えて上がってきているのです。
ただ、時間はありません。この調子を維持するためには、今以上に集中して勉強する必要がありました。本番までもう半年を切っていました。

このとき、娘は受験勉強以上に学校の課題に追われる毎日を過ごしていました。
私は娘にちょっと意地悪な質問をしました。
「いま割と評定がいいのだから、今後、学校の課題は適当に書いて、とりあえず提出したらダメなの?」
娘「あともう少し頑張ったら評定が0.1あがるから頑張りたい。。」
私「0.1あがっていくらになるの?4.0とか?」
娘「4.9」
私「え?5点満点だよね?」
娘「そう」

私は娘の入試得点力にばかり着目して、大事なことを見落としていました。

娘は当初、学校の推薦枠を狙っていました。
期末の数学の試験で一度失敗したために、私はもう諦めたと思っていたのですが、その間に数学以外はオール5という成績まで評定を上げていたのです。
娘の通う学校では指定校推薦枠として有名私立大学が名を連ねていました。

しかし、娘が言いだしたのは、志望校のランクを下げたいということ。
地方の国立総合大学(旧帝大)ではなく隣町の国立単科大学に変更したいと言うのです。しかも、夜間に通って昼は働くというのです。

そこでピンときました。

普段、うちは貧乏だから国公立以外は無理だよと言っていました。
そう言うことで、地元国立大に志望校が絞れると思ったのです。
それを娘は経済的な観点だけで、鵜呑みにしていたのです。
たしかに、私立大学に通わせるのは経済的には厳しいです。ましてや上京して一人暮らしをするとなれば仕送りしなければいけません。そのような支出は今の給料では難しいかもしれません。でも、娘の人生を考えたら安いものです。いざとなれば借金でも何でもしてとにかく進学させることは不可能ではありません。

「本当にやりたいことがそこにあるのかい?」

私がそう聞くと黙ってしまいました。
その後、ゆっくりと自分のやりたいことを語ってくれました。
詳細は本人のために伏せますが、それをやりたいなら地方の単科大学では難しいと感じました。

「それなら東京の有名私立大学のほうがいいかもしれないね。」

「でも私立は無理でしょ?」

「遊びに行くんだったら無理だよ」

「ちゃんと勉強するよ」

「お金の事は気にするな。もっと稼ぐから大丈夫だ。」

「ホントにいいの?」

「もちろん」

私はいつも「何事も効率よく」と言っていました。
マーケティングのゴールは「宣伝しなくても売れるようになる」こと。
もっと広く言うと、「戦わずして勝つ」ことです。

娘はそのことを実践してくれていたのです。
戦わずして勝つ方法があるのであれば、まずその道を追求してみること。
逆に、マーケティングの基本を娘に教えられてしまいました。


無事、指定校推薦を勝ち取った娘は、この春から、東京の私立大学に進学することになりました。


娘は大学でマーケティングを学びたいそうです。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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