見出し画像

「名言との対話」8月13日。長谷川常雅「まずい!もう一杯!」

長谷川常雄(1933年8月13日ー2018¥9年5月27日)は、経営者。

京都出身。同志社大学を卒業。大塚商会に入社し、転勤で福岡に赴任。その後6年半を経て、「大きくなったら商人になる」との志のとおり、退職して独立する。

福岡で最初はお菓子屋、次は卵焼き屋、そして冷凍食品へと事業を広げていく。長谷川製菓株式会社の社長であった45歳のとき、脳血栓で倒れる。なかなか回復しない中、青汁関係の本を読み「最後の挑戦だ。青汁を飲んでみよう」と決心する。毎日5合飲んだら3日目に頭痛が消えた。奇跡であった。この青汁との出会いで長谷川は健康を取り戻す。

この体験から『この青汁を流布させることで日本人の健康に貢献したい』と使命を新たにする。その結果、「まずい!もう一杯!」というキャッチコピーで有名なCMで一世を風靡したキューサイの創業者となる。

1995年発刊の鶴時靖夫『「キューサイ青汁」大研究』(IN通信社)を読んだ。1995年に『キューサイ』に商号変更をするときだ。キューサイとは「九菜」である。

生のままで絞った青汁は、高血圧、便秘冷え性、顔色の悪い人、風邪をひきやすい人、アレルギー体質の人に効果があるといわれる。長谷川が原料で使った「ケール」はキャベツやブロッコリーの原種である。南ヨーロッパ原産のスーパー野菜である「ケール」を完全な無農薬で有機栽培し、マイナス20度Cで宅配するシステムをつくりあげた。

1997年に株式を店頭公開。1999年には東証二部、福証へ株式を公開し上場企業の仲間入りをする。2000年にケールの調達先である農事組合がキャベツを混入させた問題が発覚。赤字に転落する危機があったが、原料のケール調達を直営工場に切り替えるなどして信用回復。再び業績を伸ばした。「常に危機感を持て」が信条であった。

福岡中小企業同友会においても熱烈なリーダーシップを発揮していた。「事業計画作成部会」において中小企業経営のレベルアップのために貢献し、多数の信者をうみだし、一時は「教祖的役割」を担っていたという。

ヒットを打ち続ける中、2006年、キューサイは投資ファンドと組み株式を市場から買い取るMBO形式でTOB(株式公開買付)を実施。一族は応じ、経営権を手放し長谷川も勇退する。その3年後の10年に当時のコカ・コーラウエストがキューサイの全株を引き取っている。

2019年5発16日に配信されたビジネスニュースによると、400億とも500億ともいわれる大金を手にした長谷川は73歳からロンドンで5年間暮らすが、望郷に思いがつのり、それから日本に戻っり、85歳で没している。

この人の実際の心境はわからないが、成功し大金を手にし、引退した後の人生をどう過ごしたらいいのか、考えさせられる事例だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?