「名言との対話」12月21日。高橋久子「どんなに暗い夜でも明けない夜はない」

高橋 久子(たかはし ひさこ、1927年9月21日 - 2013年12月21日)は、労働省官僚、最高裁判所判事。

門司高等女学校卒業後、東大経済学部に進学。1953年に労働省に入省。労働省課長時代は雇用をめぐる男女差別の原因究明に取り組んだ。内閣審議官、労働省婦人少年局長を歴任し、1982年に退官。

婦人少年協会会長、アジア女性交流・研究フォーラム理事長、21世紀職業財団会長を務めた後、1994年に女性としては初めて「憲法の番人」と呼ばれる最高裁判所の判事に66歳で任命される。1997年定年退官。2000年、勲一等瑞宝章受章。2013年に86歳で死去。

最高裁判事時代は、1995年 に ロッキード事件、そして1993年衆議院選挙における議員定数訴訟で最大2・82倍の1票の格差を合憲とした衆院定数訴訟判決で裁判長を務め違憲とする反対意見を述べた。1995年に婚外子相続差別訴訟、1996年沖縄代理署名訴訟、1997年愛媛県靖国神社玉串料訴訟などを担当した。

「明けない夜はない」は、最高裁判事就任時に受けたインタビューで紹介した座右の銘である。そして「国民に"良識"と受け入れられる仕事をしたい」と抱負を述べた。

さて、ここでは「座右の銘」そのものを掘り下げたい。中国では昔から高位の貴人は銘という器具に自分が大事にしている言葉を記して、執務の机の右側に置いていたという故事からきている。右側はもっとも信頼する補佐役を座らせる場所であり、そこに置くほどの重要な言葉を指している。自分を律する言葉をあげる場合が多いのだが、ポリシー、信条、モットー、スローガン、主義などの言葉で表現することもある。もっとも大切にするものを明らかにした「価値観」という言葉にも近いかもしれない。いずれにしても誰もが人生の暗闇を照らす松明(たいまつ)ともいえる座右の銘を持つ必要があると思う。

高橋久子のいう「暗い夜」は、男女差別の大きい暗黒の時代であろうし、その夜明けを自分が歩いていこうという決意を示しているのだろう。時代を切り拓く人は、夜明けを生きる決意に満ちた人だろう。

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