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「名言との対話」8月16日。税所百合子「女性には5つの役割がある。魅力的な妻、よき母、、聡明な主婦、責任ある社会人、心豊かな女性である」

税所百合子(1926年8月16日ーー)は、実業家。

1955年、女性2人で日放株式会社(広告会社)を設立 1977年、同社取締役名誉会長、1978年 、リ・インターナショナル株式会社設し代表取締役。1997年−1997年パイロットインターナショナル日本ディストリクト・ガバナーに就任。この団体はパイロット・インターナシナル・クラブの日本支部で、神近市子、波多野勤子、平林たい子らが東京の代表だった。

日本婦人放送者懇談会会長。数々の国際会議に日本代表として出席する。女性の社会的地位向上や、後進女性の育成に活発に活動。一代で社員数400人規模の会社に育てたキャリア・ウーマンである。

著書として、「キャリア・ウーマン」訳書(1978年4月 サイマル出版)。「女子学生の人生テーマ」(1979年10月 主婦と生活社)。「キャリアウーマンの道」(1979年11月 サイマル出版会)がある。
アメリカでベストセラーになった『キャリア・ウーマン』(ヘニッグ/ジャーディ著)の翻訳出版を1978年に手掛けたところ、日本のメディアでも爆発的な反響があり、「キャリア・ウーマン」という言葉は流行語となり、今では定着している。

その翻訳者が1979年にキャリアウーマンとしての自分の歴史を書いた本『キャリア・ウーマン 私の道』(サイマル出版会)を読んだ。

税所によれば女性には5つの役割がある。妻、母、主婦、社会人、女性である。この5つのチャンネルを上手に活用して個性豊かな充実した人生を送ろうという提案の書だ。
テレビの黎明期の小さな広告屋は「1業種1社、質の高い会社、ナンバー2」をターゲットとした。「線香花火ならやめなさい」と暖かく見守ってくれた東京都民銀行の工藤昭四郎頭取など多くの人に支えられて事業を軌道に乗せていく。日産自動車と東急が重要な顧客となった。この業界は広告屋、広告代理店、アドバタイジング・エージェンシーと社会的地位がしだいに向上していく。「何事も真剣に取り組むと、とりまく環境からも大きな影響を受ける」というように、困難を突破していく姿は小気味いい。

税所百合子は、自分自身に投資することを信条とし、収入の一定の割合を投資資金として確保している。海外旅行、語学、セールスマントレーニング、経理・会計の夜学、マーケティング、心理学、デール・カーネギー・コース、、、。結果として経営診断士、環境管理士、財産管理士、販売コンサルタント、生産コンサルタント、人事労務士と6つの資格、免許を取得している。勉強と克己の人である。

この本の中に1940年当時の統計が紹介されている。女性の平均寿命は49.7歳、36歳までの13年の期間で子どもは5.12人、末の子が13歳半になった頃に寿命が尽きる。人生50年時代だ。それから40年近く経った1980年には、人生80年時代になったからライフパターンを変化させるべきだという提案である。その後40年経った2021年の現在は、人生100年時代を迎えている。この80年間の変化は驚くべきものだと感じる。

人生の目標を立てる時は、「真白なキャンパスを前に筆をとろうとしているのだという自覚を持つこと」とアドバイスし、現実目標、切実目標、生涯目標への道を歩めと説く。信条は「しっとり、しっかり、にっこり」だ。

税所のいう「キャリア・ウーマン」とは、仕事一筋の女性ではない。仕事と家庭を両立させている女性だ。そのためのアドバイスは、5つのチャンネルを上手に切り替えながら進むことである。5つのチャンネルとは、責任ある社会人、「目を離すな、手を離せ」を心に持つよき母親、夫を助ける妻、皆に心をくばる聡明な主婦、充電しながら心身ともに磨いていく魅力的な女性、である。

この人はひたすら人生の充実を求めた努力の人だ。多くの女性に勇気と希望を与えた影響力の大きな女性である。3つの信条、5つのチャンネル、12のチェック・ポイントなど具体的で的確な提案は、40年後の現在でも多くの迷える女性に役に立つアドバイスだろう。

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