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「名言との対話」6月24日。松本善明「ちひろの描く絵のような人だった」

松本 善明(まつもと ぜんめい、本名:まつもと よしあき、1926年5月17日 - 2019年6月24日)は、弁護士。衆議院議員。享年93。

画家のいわさきちひろの夫。大阪府出身。海軍兵学校終戦を迎える。東大法学部在学中んに日本共産党に入党。1950年に8歳年上のいわさきちろと結婚。1954年から弁護士と活動し、起訴された20人全員が無罪となった松川事件などを担当した。1967年、日本共産党から衆議院議員に当選し、党の国会対策委員長衆議院議員団長などの要職をこなし、35年通算11期をつとめた。

この人の名は、「いわさきちひろ美術館」を訪ねたときに、いわさきちひろの夫として知った。

没後、いわさきちひろ絵本美術館がつくられた。2009年に訪問した「ちひろ美術館」は、西武新宿線上行井草から徒歩10分ほどの住宅地の一角にある。最後の22年間を過ごし数々の素晴らしい絵や絵本を描いた自宅跡にバリアフリーのいい雰囲気の私設の美術館として建っている。はちきれそうな若さのちひろの写真、人柄の良さがわかる笑顔。ちひろの願いは、子どもの幸せと平和だった。意外なことにちひろ共産党員だった。絵という手段で平和の大切さを訴えた人だった。

私は、2012年にも長野県安曇野の「安曇野ちひろ美術館」を訪問している。

31歳で再婚した8つ年下の相手の松本善明は、ちひろはどのようなひとだったかと問われると、「ちひろの描く絵のような人だった」と答えている。どこかで見た名前だと思ったら、この人は日本共産党の有名な幹部だった。ちひろ共産党員だったのには驚いたが、絵という武器で平和の尊さをアピールしていくのがちひろ流だった。「鉄の棒を真綿でくるんだような人」といいうのが妹たちのちひろ評である。黒柳徹子の空前のベストセラー『窓際のとっとちゃん』の挿絵は、いわさきちひろだった。

この松本善明が書いた『ちひろ』という本は、亡き妻・ちひろを深い愛情を持って語っている。「ちひろの描く絵のような人だった」と松本善明は語っている。どのような絵か。濃淡のあるやさしい色づかい、淡い紫色の多用、春の風を感じさせるタッチ、ファンタジー感、そして見る人の心を浄化させるような、心を温かくするような絵である。松本善明の言葉は出色である。ちひろは自分を描いていたのだろう。

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