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「名言との対話」11月19日。今村善次郎「セメダイン」

今村善次郎(いまむら ぜんじろう 1890年11月19日ー1971年1月6日)は、発明家、経営者。

富山県高岡市出身。1907年、17歳で上京。仕事を転々としながら夜間中学を卒業した。1910年代に自分で製造した家具用ワックスや靴墨、またイギリス製のメンダインを販売していた。今村は「国産の接着剤」をつくりたいと、このメンダインに対抗してチューブ詰めの化学のりの開発を試みて、1923年に成功した。日本初の合成接着剤として製造販売を開始した。セメダインAは耐水性と耐熱性に弱点があり、研究開発に明け暮れて、1938年に「セメダインC」を発売する。当時、子供たちの間に模型飛行機ブームがあり、その接着剤として売れ行きも良かった。家庭用の黄色いチューブで黒字に赤抜き文字のセメダインCは工作用で、学校での工作や家庭でも使われていた。私もよく使った記憶がある。

株式会社セメダインの主力は、工業用接着剤であるが、家庭用についても次々に新製品を発売している。

結合材を意味する「セメント」と力の単位の「ダイン」を組み合わせた「セメrダイン」は、今村善次郎の造語で、接着剤の代名詞になっている。2013年にセメダインCは日本初の合成接着剤として国立科学博物館選定する重要科学技術史資料 (未来技術遺産)に登録された。

今村は「接着剤は世の中の進歩に貢献し努力が少しづつ結実することに無上の喜びを感じた」「よりよい製品をより多くの人々に、を合言葉に全力を尽くしたい」と、1970年の社内報で語っている。また今村の生前を知るある社員は「商品開発に力を注ぎ、マーケティングやデザイン、ネーミングなどで才能を発揮し、時代の最先端を行った」と述懐している。

2022年、株式会社セメダインは、カネカの子会社となった。

今村善次郎は「国産接着剤の父」「セメダインの父」と呼ばれている。ここにも「父」がいた。

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