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「名言との対話」12月17日。岸田今日子「妻になっても人は変わらないけど、母親になると変わると思う」

岸田 今日子(きしだ きょうこ、1930年4月29日 - 2006年12月17日)は、日本の女優、声優、童話作家。

父は劇作家で文学座創設者の岸田國士、母は翻訳家の岸田秋子。姉は詩人で童話作家の岸田衿子、従弟に俳優の岸田森がいる。俳優の仲谷昇は元夫。

自由学園高等科を卒業。1950年に文学座の「キテイ颱風」で初舞台。1960年、三島由紀夫演出の「サロメ」で主役に抜擢される。1962年「破戒」などで毎日映画コンクール助演女優賞、1964年の主演映画「砂の女」でブルーリボン助演女優賞を受賞。1969年からアニメ「ムーミン」の主人公の声を担当し、ドラマ「大奥」のナレーションも務める。映画「八つ墓村」やドラマ「傷だらけの天使」で独特の存在感を示す。1994年に紫綬褒章を受章。1999年に紀伊国屋演劇賞個人賞。晩年は九条の会の他、「イラク攻撃と有事法制に反対する演劇人の会」に参加するなど、護憲運動に関わった。

女優としての独特な存在感のある演技には私も何度も接している。どんな役でもこなすため「怪優」という人もいた。「人間の記録「岸田今日子」を読んでみたが、父や母など家族の断片的な思い出、谷川俊太郎や三島由紀夫などの人物評、日常のエッセイが多かった。

NHKアーカイブ「あの人の会いたい」では、久しぶりに顔と声をみた。舞台ではキツネつきのように、何かがつくことがあるという。ある一言からイメージが広がっていくのだそうだ。「演じるとは飛び込むことだと考えていた時期もあったが、いまは裸になることじゃないかなと」と語っているのが印象的だった。

「あたし、魔女の役がやりたいわ。人間は楽しくないもの」といったこの女優は俳優の中谷昇との結婚生活では何もしない妻だったようで離婚したが、子どもが生まれて母となってからは変わっていったと、中山千夏、富士真奈美との3人の「井戸端会議」で語っている。怪しげな雰囲気、不思議な存在感、独特の個性、謎めいたセリフまわしのこの女優は、母となって演技も変わっていったのだろうか。 1998年に日本エッセイスト・クラブ賞を獲った、67歳の時のエッセイ「妄想の森」を読んで確かめたくなった。

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