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「名言との対話」9月12日。加藤卓男「日本のやきものにペルシャという新しい血を導入して世界観に立つやきものを生み出そう」

加藤 卓男(かとう たくお、1917年9月12日 - 2005年1月11日)は、陶芸家。

岐阜県多治見市生まれ。原爆を受けて長く体調を崩している。1934年、多治見工業高校卒業後、京都国立陶器研究所陶芸科にて研修を受ける。

1961年、フィンランド工芸美術学校修了。現地で「史上最高の芸術ペルシャ陶器は途絶えている」という話を聞いてこの再現を決意した。1973年、イラン・パーレヴィ王立大学付属アジア研究所留学およびペルシア古陶発掘調査に参加している。

加藤卓男は古代ペルシア陶器の斬新な色彩や独創的な造形、釉調に魅力を感じ、西アジアでの長年の発掘研究を経て、滅び去った幻の名陶「ラスター彩」の復元をはじめ、青釉、三彩、ペルシア色絵など、高い芸術性を持つ異民族の文化と日本文化との融合に成功した。

一方、国内では1980年に宮内庁正倉院より正倉院三彩の復元制作を委嘱され、約9年の研究の末、「三彩鼓胴」「二彩鉢」を納入している。

学術および芸術文化に寄与した功績により、1995年に国指定重要無形文化財保持者(人間国宝) に認定された。

加藤卓男は、20年近くに及ぶ試行錯誤の末、長年の謎だったペルシャ・ラスター彩の製法を再現することに成功した。

ラスター彩とは何か。Lusterとは、きらめき、輝きを指す。光の角度によってやきものの表面がきらきらと七色の虹のように輝くオパール現象が出現するのだ。

見ながら描くのではなく、頭の中に像を刻み付ける。「松を描く時に、見て描いているようではまだだめだ。想像で描けるようにならなくては」、それが加藤の方法だった。

加藤はやきものという魅惑に満ちた世界の中に、「日本の心」を大きく加えて、新しい世界に踏み込んだ。日本の桃山時代の織部は西欧文化の血を取り込み新しい伝統をつくり上げた。加藤は「日本のやきものにペルシャという新しい血を導入して世界観に立つやきものを生み出そうとしたのである。

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