見出し画像

4月19日。高橋節郎「絵心、詩心、遊び心が芸術家の三大要素である」

髙橋 節郎(たかはし せつろう、新字体:高橋 節郎、旧字体:高橋 節郞、1914年(大正3年)9月14日 - 2007年(平成19年)4月19日)は、日本の漆芸家である。

当初は画家志望だったのだが、父が画家になることに反対し、やむなく東京美術学校では工芸科漆工部に入学する。日々漆という素材と格闘するうちに、漆の魅力に惹かれ、「漆で絵を描こう」と方向を定めていく。

初期の多彩な色漆による表現から、深い黒をベースに金と朱に移行し、そしてさらに黒と金のみの表現へと進んでいった。都市の情景や詩的人物をへて、独特の幻想世界へと広がっていく。化石、古墳、星座などがモチーフとなっていく。日本独特の工芸美と欧米の近代美の融合がテーマとなった。

漆は色を出すには大変難しく、かつ時間がかかる。漆黒の黒と蒔絵の金は、漆の世界にしかない美しさである。そして幅の広い塗料でもあり、高橋によれば「漆の世界は、ペンダントから日光東照宮まで」扱えるのだそうだ。しかし素材に引きずられることを戒めていた。作家にとって一番大切なのは、感性であり、さらに哲学や思想であると考えていた。

1976年に母校の東京芸大の教授に就任。感性と想像力の教育に力を注いだ。学生たちには幅広い読書を勧めた。1990年には文化功労者に顕彰された。1999年には愛知県豊田市に豊田市美術館・高橋節郎館が開館。工芸科の個人美術館は珍しく芹沢けい介、藤原啓、河井寛次郎などがあるが、漆芸作家は高橋節郎だけである。作家冥利に尽きると感謝し、自らの仕事を全部並べている。

絵心、詩心、に加えて、遊び心を芸術家に必要な要素とあげている。体や頭だけでなく、人間だけが持つ心を満足させる遊びを挙げているのはさすがである。芸術という至高の分野は遊びと密接な関係がありそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?