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坪内稔典「一億人のための辞世の句」(展望社)ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4885462924

新聞で募集した辞世の句から選んだ庶民の句が並んでいる。
芭蕉は「昨日の発句は今日の辞世、今日の発句は明日の辞世、わが生涯いひすてし句は一句として辞世ならざるはなし」と言った。

しかし、この本は「正月に家族の写真を撮るように、辞世の句を作ろう」「楽しい辞世の句」とういう意図がある企画なのが面白い。ユーモア満載の句も多い。以下、少しピックアップ。

生涯は落葉の如し地に返る
裏もあり面もありて七十年
生も死も只春風のたなごころ
微笑んですむこと多し若葉風
原爆忌忘れぬことに未来あり
カンナ燃ゆ煩悩捨てて生きるべし
曲折もあれど悔いなき鉄線花
まいた種刈取る老いの鎌軽し
経不要臓はやらぬぞサヨウナラ
いつにても天寿と云わん落葉焚く
秋くればバッハを聴いて死ねばよし
夜の海深く深くと月を呑む
胎教の長崎の鐘鳴りやまず
わが墓はわが言葉なり鳥渡る

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