6月29日。 地井武男「ただ、スターは無理でも、味のある脇役ならなれると思ってたんです」

地井 武男(ちい たけお、1942年5月5日 - 2012年6月29日)は、日本の俳優。

1963年に俳優座養成所へ第15期生として入所。同期には原田芳雄、林隆三、太地喜和子、前田吟、高橋長英、栗原小巻、小野武彦、村井国夫、など錚々たるメンバーがいた。こういうライバルとして切磋し、友として琢磨していった個性的な仲間から生命力を学んできたから、なんとか持ちこたえたと述懐している。地井は主演から脇役、悪役からマイホームパパまで、幅広い役柄を演じることのできる演技派俳優として活躍を続けた。

「庭先や街路樹として植えられている木の名前はだいたいわかるんだけど、たまにどうしてもわからないのが出てきてね。そういうのを調べるのがおもしろいね」。地井は日本の四季、自然、植物を愛することでも知られている。2006年4月3日より、『ちい散歩』(テレビ朝日)が放送を開始し、2012年に病に倒れて終了するまで、放送1518回、訪問地833ヵ所、総歩数3,227,000歩、総距離数2581.6kmを記録した。約6年続く人気番組となったこの番組は現在まで続く散歩ブームの火付け役となった。趣味の絵画では美術展に出展するレベルであり、この番組では絵手紙を描いていた。ゴルフ、空手、絵画、蕎麦、ブランコ、植樹活動、、と地井は好奇心が強い人であった。

高校のころには「俳優になろう」と決めていたのだが、そのころからスターにはなれないと悟っていた。スターではなく、最初から脇役を目指したのだ。「アメーバみたいに、食べるものによって色が変わっていくような俳優になりたいんです」とも語っていた。昨日眺めた女優沢・村貞子『わたしの脇役人生』(ちくま文庫)では、沢村も「脇役を語っていたが、男優・地井武男とも通じるところがある。二人とも日々の生活の楽しみを知っおり、味のある人物だ。その地井武男はテレビの『ちい散歩』に巡り会い、自分を総合するライフワークを残したのである。この幸運を引き寄せたのも実力だろう。

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