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6月20日。宗左近「山がはじけた 海がさかまいた 吊り橋はねた 青空さけた きみたち死んだ おれたち生きた 」

宗 左近(そう さこん、1919年5月1日 - 2006年6月20日)は、詩人・評論家・仏文学者であり翻訳家。

小倉中学、一高、東大哲学科卒。海軍への入隊、招集があった時には、精神錯乱を装って二度も逃れている。後に、法政大学、昭和女子大学教授。

ペンネームの宗左近は、「そうさ、こんちくしょう!」という経験からとった。50冊に及ぶ詩集、100冊を越える著書を刊行した。1987年から亡くなる2006年までの間は、年に1冊以上のペースで出版していたという多作の詩人である。

詩集に『宗左近詩集』『続・宗左近詩集』『縄文連祷』『藤の花』『青氷柱』『透明の蕊の蕊』『宙宇』(以上、思潮社)。評論に『日本美 縄文の系譜』『宮沢賢治の謎』『詩のささげもの』(以上、新潮社)、『日本の美 その夢と祈り』(日本経済新聞社)などがある。

1994年、詩集『藤の花』で第10回詩歌文学館賞を受賞。2004年、第1回シカダ賞(Cikada Prize、生命の尊厳を表現する東アジアの詩歌人を顕彰する賞。スウェーデンが制定)を受賞した。

宗左近が選んだ詩とその解説書『あなたにあいたくて生まれてきた詩』(新潮文庫)を読んだ。以下、印象に残った詩をあげてみる。

「ルームライトを消す スタンドランプを 消す そうして 悲しみに灯を入れる」

「おばあちゃん おはなみにいって さくらのはなが ごはんのうえに おちてきたら どうしたら いいの」

「ふるさとには なんにも ない 山と 川と 空のほかには だけど 母さんがいる ふるさとには なんでも ある 夢と 友と 思い出がある だけど 母さんが いない」

2014年、生まれ故郷である北九州市戸畑図書館内に「宗左近記念室」がオープンした。2016年、市川市に詩碑が建立された。2017年、「宗左近・蕊の会」が設立され活動を続けている。市川市の名誉市民でもあることからわかるように、深く地元に影響を与えた人だった。

宗左近は岡本太郎『縄文土器論』に衝撃を受け、縄文土器に強く惹かれていた。宗左近が作詞した縄文ラプソディの「滝壺舞踏」の映像をみた。ピアノの伴奏にのった力強い男性合唱と、エネルギーに満ちた詩に感銘を受けた。

「山がはじけた 海がさかまいた 吊り橋はねた 青空さけた きみたち死んだ おれたち生きた   石が泳いでくる 雲が喘いでくる 星が溺れてくる 月が割れてくる、、、」。

鎮魂の「祈り」である。

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