6月27日。 アルビン・トフラー「将来の文盲とは、読み書きのできない人ではなく、学ぶことも、学んだことを捨てることも、また学び直すこともできない人のことである」。

アルビン・トフラー(Alvin Toffler、1928年10月4日 - 2016年6月27日)は、アメリカの評論家、作家、未来学者。

トフラーは大学卒業後、工場の従業員として約5年間を過ごし、工業化された大量生産の現場で機械修理工兼溶接工になり実地で勉強した。組合系の新聞の記者となり、ワシントン支局に異動。ペンシルベニアの日刊新聞の特派員として3年間にわたり議会とホワイトハウスを担当した。

その後、フォーチュン誌に招かれてニューヨークで労働問題担当のコラムニストになり、後にビジネスや経営についても担当するようになる。IBMからはコンピュータが社会や組織に与える影響について調査する仕事を請け負った。ゼロックスの招きで同社研究所について文章を書いてもらう。AT&Tではコンサルタントとしての戦略的助言を行った。本格的なビジネス誌「フォーチュン」を創刊したアメリカのメディア王ヘンリー・ルースはドラッカー、トフラー、ベル、ガルブレイスなどを育てるという功績もあったのである。

トフラーの著書は多くあるが、代表作は1980年出版の『第三の波』である。第一の波は人類が農耕を始めた新石器時代の農業革命。第二の波は産業革命。そして今から襲ってくる第三の波は脱産業社会である、という趣旨である。1962年にダニエル・ベルが提唱した脱工業化社会が、それまでの伝統社会と産業社会の二分法ではなく、新しく脱工業化社会の概念を作った。産業界に詳しく未来学者という肩書きを持つトフラーのベルの延長線上の提唱は、日本でも大きな話題になり私も夢中で読んだ。

不思議なのは「脱」と言い、「第三」という言い方は、中身を言い当てていないことである。トフラーの著書より20年も前に、日本の梅棹忠夫は、人類の産業の歴史を「農業の時代」、「工業の時代」、これからは「情報産業の時代」になると予言した。人類を人間が完成する過程ににたとえ、農業時代は受精卵から消化器官をつくる内胚葉の時代、工業時代は血液や筋肉をつくる中胚葉の時代、そして情報産業の時代は脳神経をつくる外胚葉の時代となり、人類は最高の段階に達するという理論だ。梅棹説の方が説得力があるように思える。

さて、トフラーは「学び、学んだことを捨て、学び直す」人でなければ、新しい時代を生きぬくことはできないという。情報産業の時代には、生命科学を含めてあらゆる分野の知識がものすごい速度で変化し、視界が大きく変わっていく。昨日学んだことを、今日は捨て去る。そして明日は新しい知識を学び直す。こういうサイクルに参加する気概がなければ、企業も個人も時代に置いていかれる。私たちは、自己革新の連続で生きていかなければならない。

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