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4月4日。佐々木高明「照葉樹林文化論」

佐々木 高明(ささき こうめい、1929年11月17日 - 2013年4月4日)は、日本の民族学者。国立民族学博物館館長。
中尾佐助とともに、照葉樹林文化論を構築し、提唱した。マツ、スギを中心とした針葉樹ではなく、シイ、カシ、ブナ、クスノキなど光沢の強い深緑色の葉を持つ樹木に覆われた表面の照りが強い樹木で構成された樹林である。
ヒマラヤから西日本に広がる照葉樹林帯では、森によって育まれた共通の文化が誕生した。モチ、ナットウを食べ、茶を飲み、カイコや漆を利用する。高床吊り壁の家に住み、歌垣、山の神信仰医、そして山の中にあの世があると信じる。この文化のセンターは中国湖南省から雲南・北ビルマ・ブータンに至る「東亜半月弧」であるとする。「外国の引用文献などではなく、自分で調査した結果にもづいて語れ」という京都学派の風土の中で生まれた理論の一つが梅棹忠夫の「文明の生態史観」と中尾・佐々木の「照葉樹林文化論」だった
日本の民族学では、明治以来、特に戦後は日本人のアイデンティティについての研究が盛んになり、この理論は学界だけでなく、広く受け入れれた。西欧文明は西アジアの半乾燥地帯の草原がルーツであり、東アジアの照葉樹林文化は、大和森の生み出した文化である、という理論だ。

佐々木は、この功績によって今和次郎賞、第13回NIRA政策研究・東畑記念賞、第14回南方熊楠賞人文の部受賞などを受賞している。国立民族学博物館は創業者梅棹忠夫館長に続き、佐々木高明が継ぎ、石下直道が続いた。

この佐々木らの理論は「文明の生態史観」とともに、西洋を相対化するという視点で、戦後の日本人に自信を持たせたのである。文明の生態史観は西洋と日本は親せきであるとしたが、照葉樹林文化論はアジア世界の中に日本を位置づけた。

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