9月26日。 市川昭介「聴いている人にまとめて演説しているんじゃなくて、聴く人の一人ひとりの心に訴えていくのが歌でしょう」

市川 昭介(いちかわ しょうすけ、1933年(昭和8年)1月4日 - 2006年(平成18年)9月26日)は、日本の作曲家。

1961年、島倉千代子が歌い第3回日本レコード大賞作曲奨励賞を受賞した『恋しているんだもん』でデビューする。1962年、畠山みどりの『恋は神代の昔から』がミリオンセラーとなり、翌年の『出世街道』も連続のミリオンセラーを記録した。1964年、都はるみの『アンコ椿は恋の花』が3作目のミリオンセラーとなり大ヒット。以後『涙の連絡船』『好きになった人』『大阪しぐれ』など、都はるみの一連のヒット曲を作曲し、国民的演歌歌手に育て上げた。門下生には、ジュディ・オング、畠山みどり、五木ひろし、大川栄策、などがいる。

山口洋子編『市川昭介の歌上手になる本』(講談社文庫)を読んだ。一般人向けの歌が上手になるためのアドバイス満載の本だ。作詞歌の山口洋子が市川の考えを上手に引き出している。森進一の「東京港」を「どんなふうに歌たったらいいですか」との質問に、「森進一の物真似して」とアドバイスしているのは愉快だ。

以下、歌やそれを歌う歌手についての市川昭介の考え。

・うたう人の魅力的な部分をさがすことが仕事なんで、それが出来たら答えは出たようなもので、あとはメロディをさわっていけばいいことなんです。

・レッスンといってもそういう自信をつけさせるみたいなつもりでやっています。

・我々は新曲でいつも仕事をしているけれど、歌い手さんは一回目は新曲でも、うたうごとに古い歌になる。

・作り手と歌い手の違いっていうのは、大ざっぱにいえば生む方と育てる方の差ですね。

以下は、カラオケで歌う人へのアドバイス。

・聴いている人にまとめて演説しているんじゃなくて、聴く人の一人ひとりの心に訴えていくのが歌でしょう。

・どんな歌でも、距離感というのは、見てもいいからもっと遠くに自分の気持を置いてほしい。(カラオケで詞を見ながら歌うと、目の距離感が歌の距離感になってしまう)

歌詞に様々のアドバイスが書いてある。とても親切な本だ。

たとえば、「アンコ便りは ああ片便り」では、最初の部分には「お腹に力を入れて」とある。私の十八番である「くちなしの花」には、「男の歌にはほどよい照れがあった方がいい」とのタイトルがついている。歌詞についている指導のメモは「全体に流れやすいので一言、一言、言葉をかみしめてうたう。〇印は適当な伸ばしで」「あまり思いをこめるといやらしくなってしまう。シャイな感じでうたってほしい」である。わかりしました。市川昭介先生!

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