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「名言との対話」 8月22日。村山実「指導者は部下にライバルを用意せよ。弱者連合に目を光らせよ」

村山 実(むらやま みのる、1936年12月10日 - 1998年8月22日)は、プロ野球選手(投手)・コーチ・監督、解説者。

関西大学を卒業し、阪神タイガースに入団。最優秀投手、最高殊勲選手、3回の沢村賞、防御率1位、勝率1位などの記録を打ち立て、14年間で222勝147敗。大卒選手で200勝以上した名球会会員は村山と203勝の黒田博樹だけである。選手兼監督として3年、その後、再び阪神の監督に招聘されている。

闘志をむき出しにしたザトペック投法で、阪神タイガーズで巨人の長島と王を相手に燃えた名投手だ。天覧試合で長島に打たれたホームランは、今でもテレビでよく放送される。村山対長嶋の対戦成績は302打数85安打、打率.281、21本塁打、39三振であった。野球漫画『巨人の星』に登場する花形満は、村山実がモデルである。選手や監督としての、野球に関する言葉を拾ってみよう。

「わしは一球一球、命かけて投げてるんや」「聞くのはいけないが、盗むのはいいのである」「巨人に勝とうというのに、巨人と同じことをやっていては勝てない」「ウィニングショットをねらえ」

村山の自伝『君のヒーローになりたくないか』(講談社文庫)を読んで、イメージが変わった。この人は野球人だっただけでなく、企業経営者だったのだ。マンション経営、洋品店、スポーツ用具販売で、社員20人規模で、1984年には年商21億円になっている。その経験をもって、低迷する阪神タイガースの監督を管財人の心境で引き受けている。

村山のキーワードは、意外なことに「凡人」だった。リーダーとしての責任は、組織の最大限の力を引き出さなければならないという義務を背負うことだと言う。

「野球の世界は、一般社会が単純化され、凝縮されたものだ」「社長の役割は収益をあげること、後継者を育てること」「不平や不満をアイデアに変え、解決策を見出すことが創造だ」「能力あるものを使えるか」

指導者は部下にライバルを用意せよ。弱者連合に目を光らせよ。これは野球界だけでなく、あらゆる組織におけるリーダーへのアドバイスだ。村山実の言葉は、野球一筋の名監督たちとは一味違う。

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