「名言との対話」3月15日。平岩弓枝「大事にしてきたのは人間を書くということ。長谷川伸先生の教えです」

平岩 弓枝(ひらいわ ゆみえ、1932年3月15日 - )は、日本の小説家、脚本家。

代々木八幡宮の一人娘。日本女子大国文科卒。戸川幸夫に師事した後に、長谷川伸主宰の新鷹会に入会し学ぶ。

小説家としては、1959年、26歳で直木賞を受賞。その後、恋愛、推理などをテーマとした小説を書いた。

脚本家としては、TBS系テレビドラマ『ありがとう』シリーズ、『肝っ玉かあさん』シリーズ、TBS系東芝日曜劇場『女と味噌汁』シリーズ、『下町の女』シリーズやNHK大河ドラマ『新・平家物語』を始めとするテレビドラマや演劇の脚本を書いている。

1974年からは時代小説に専念し、『御宿かわせみ』を刊行し30年以上にわたり、ベストセラーとなったシリーズを書き続けている。

ブクログでは、平岩弓枝の全1042作品から、ユーザが本棚登録している件数が多い順で並ぶべている。トップの『新装版 御宿かわせみ』(文春文庫)は、登録者492人、レビュー66人。この小説は、江戸の大川端にある小さな旅篭「かわせみ」。そこに投宿する様々な人たちをめぐっておこる事件の数々を題材にした、宿の若い女主人るいと恋人神林東吾の二人の物語だ。江戸の下町情緒あふれる人情捕物帳だ。

TSUTAYAで取り扱っている作品は459件あることなどからわかるように、作品の量は膨大で、かつ質が高いこともあり、数々の賞を受賞している。2016年には文化勲章も受章している。

『女と味噌汁』(集英社文庫)を読んだ。女の颯爽とした生き様を描いた傑作だ。この作品でテレビ界は放っておかなかった。以後、脚本の仕事を多くてがけることになった作品である。読んでいて心があたたまると同時に主人公の科白(せいりふ)も本質をついていて気落ちがいい。この長く続いたテレビドラマをみた記憶はないが、主役の池内淳子と山岡久乃と長山藍子が映画も含めて共演しているというから、何本かはみている気もする。

オーディブルの「講演・エンターテイメント」の女性作家たちの講演録を聞いたことがある。文藝春秋社の文化講演会での講演録だ。それぞれ1時間弱の中身の濃い講演だったが、平岩弓枝「秘話かわせみ」では、「御宿かわせみ」の執筆秘話。師匠・長谷川伸と兄弟弟子たちとの濃密な修行の日々が語られていて、好感をもったことを思い出した。

終生の師・長谷川伸からは「人間が動くから物語が生まれる。物語があって人間がいるんじゃない」と教えらえた。平岩弓枝は「大事にしてきたのは人間を書くということ。長谷川伸先生の教えです」と感謝の言葉を書いている。師を不動の星のように仰ぎみながら、ひたすら精進することの素晴らしさをこの師弟関係は教えてくれる。

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