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「名言との対話」7月24日。金子徳好「アメリカのベトナム侵攻に反対の意思を示すぞ!!」

金子 徳好(かねこ とくよし、1924年7月24日 - 2007年11月26日)は、反戦活動家・平和活動家・ミニコミ研究家である。

東京都渋谷区生まれ。東京高等農林学校(現・東京農工大学)中退。戦後渋谷でローカル新聞を主宰する。労組書記(全銀連)を経て、日本機関紙協会に勤務した。

1965年、同僚との飲み会で、「アメリカのベトナム侵攻に反対の意思を示すぞ!!」と、酒の勢いでベトナム戦争反対を宣言する。同僚もいいぞ!と盛り上がる。反対してくれると思った妻からも激励されてしまう。「アメリカはベトナムから手をひけ」と書いたゼッケンをつけて8年間にわたり通勤するはめに陥った。通勤途中も職場でも奇異の眼で見られたが、メディアも取材も相次ぎ、本家ベトナムでも英雄視される。その記録として『ゼッケン8年』(朝日新聞社)を1974年に刊行している。現在、ベトナムホーチミン市の戦跡博物館の入口に、ゼッケンとベトナムのVIPとの写真と金子の紹介が大きく出ている。

2014年には息子の金子修介『ゼッケン8年: ベトナム戦争反対のゼッケンをつけて8年間通勤した男の手記』がkindle版で復刊している。修介は平成『ガメラ』シリーズ『デスノート』の映画監督である。

1981年10月には核廃絶を訴え再びゼッケン通勤を始め、1984年の広島原爆忌まで続けた。退職後は地域のミニコミに力を入れ、地域からの平和運動を続けている。その成果である金子徳好編『自分たちのネットワーキング メディアのつくり方』(広樹社)を読んだ。

初心者が知っておくべきメディアづくりの基本ーー企画・編集、レイアウト・レタリング・版下づくり、印刷・製本などが記載されている。そしてミニメディアのオン冊・出版関連者のネットワークでつくりあげている。

1987年発刊だから、金子は63歳。「このところ私は埼玉県内のいくつかの公民館でPTA新聞のつくり方の講座にとびまわっています」とあり、忙しそうだ。メモをとれ、人間が「まめ」であれ、などの励ましがある。「自叙伝とじぶん史」という項がある。自叙伝は立志伝であり、成功史、自慢史だ。じぶん史は正直で率直な「思い出」を読み物にしたもので、著者の人となりとその時代を知ることができるものと説明している。この時代にこんな人間が生きていた、というあかしなのだ。

この本の最後に「じぶん史」を書けとすすめている金子徳好は、50歳で『ゼッケン8年』を書き、死後に息子が『ゼッケン8年: ベトナム戦争反対のゼッケンをつけて8年間通勤した男の手記』として復刊している。この本こそ、金子のいう「じぶん史」だろう。1960年ー1970年のベトナム戦争時代には、こんな人間がいたことがわかる。「じぶん史」の効用である。

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