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「名言との対話」10月31日。真鍋博「イラストは集団思考のメディア。イラストレーションは描く行為をとおして思考するという方法」

「名言との対話」10月31日。真鍋博「イラストは集団思考のメディア。イラストレーションは描く行為をとおして思考するという方法」

真鍋 博(まなべ ひろし、1932年7月3日 - 2000年10月31日)は、愛媛県新居浜市出身のイラストレーター、アニメーター、エッセイスト。

多摩美術大学で油絵、美術研究科でデザインを専攻した。港区立赤坂中学校に美術教師を経て、星新一、筒井康隆などのSF小説の挿絵を多く描く。

未来画も得意で、1960年代までの「ばら色の未来」が信じられていた時代は、ファンタジックな未来社会についての絵を描いた。また自転車使用をすすめるバイコロジーや自然回帰のユックリリズム運動にも参加。そして文明批評的なエッセイも書くなど多彩な活動を展開した。

真鍋博『イラストからの発送 絵地図から国家計画まで』(PHP)を読んだ。以下、気になった部分。

・イラストにはジャンルはなく、セックスから原子力まで自由に描ける。人間の生活と社会について表現できないものはエッセイという分担。

・ 社会的デザイン。

・ボルマンの鳥瞰図。位置関係や風土を描いた絵地図。実用地図。絵地図の思想が必要。食糧、エネルギー、防衛についての絵地図。パノラマ化。

・色と形、そしてイメージをとらえると複眼の視点で見ることができる。言葉、データ、数字、記号を用いると結論をひきだしてしまう。

・絵を描いて、わかる形にして、コミュニケーションをもとう。

・シミュレーションする絵画としての可能性をイラストレーションは持っている。

・細かいことより全体、昨日今日のことより明日をみる鳥瞰的視点。接近して確かめる虫の眼。他人立場から見る目と足もとから見る目。

・知らない言葉は暗号。

・ビジュアルとは見てわかること。考えることを必要としない。頭脳を通さない。デザインとはわかりやすくすることだ。

あらためてイラストレーションという概念を調べてみると「 図像によって物語、小説、詩などを描写もしくは装飾し、また科学・報道などの文字情報を補助する、形式よりも題材に主眼を置いた図形的もしくは絵画的な視覚化表現である。イラストレーションは情報を伝達する媒体の1つであり、目的に沿って作成される絵や図像であり、情報の図解という性格を持つ」となっている。

「情報の図解」という意味では 「図解コミュニケーション」と同じになる。しかし「文字情報を補助する」のではない。文字情報を凌駕するのが図解コミュニケーションだと言っておこう。

「イラストは集団思考のメディア」という項目では、「イラストレーション、、描く行為をとおして思考するという方法。ものごとを考えるために描いてもいい。ものを考える時、腕を組んでいるより、何か描いていると方が発想が広がる。描きながら、いろんなことを思いつくものである」とイラストレーションの本質を語っている。集団思考とは、グループで活動に向いているという意味だろう。真鍋博は「図解コミュニケーション」を追求している私の同志だったのである。愛媛県立図書館にイラスト、図書、雑誌など3万点からなる「真鍋博コレクション」があるそうなので、訪れたい。

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