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デンマーク、人魚姫の像の前で「調和」について考えた日 〜 海外旅日記、「Just My Imagination」 クランベリーズ

北欧。

この言葉持つ抗いがたい魅力は一体何なのでしょうか。欧州ではなく北欧。東欧や南欧ではなく北欧。北が付くだけで精錬、清潔、美しさ、きれいな風景が浮かび、文化や日常までイメージできるような気になってしまう。

北欧。

2000年の春。そんな北欧の4か国のうち2か国を旅する幸運に恵まれました。卒業旅行を兼ね、スウェーデン、デンマーク、そしてフランスを旅した周遊記をまとめてみます。

その時心に流れていた音楽を添えて。

当時はスウェーデンに行くには日本から直行便が無くデンマークでトランジットが必要とのこと。ならば!とデンマーク滞在を5日間ほど予定に盛り込みました。

まずデンマークですごしてから、スウェーデンへ向かい、そこからフランスへ。フランスから日本へという工程を組み、いざ機上の人へ。

到着したのはデンマークのコペンハーゲン。

空港からコペンハーゲン中央駅(違う名前だったかもしれないが)に降り立つ。この駅、とてもレトロで古めかしい建物。レトロでロマンチックな雰囲気。天井も高く開放的だったような?異国の地に降り立った感が満載でした。なぜか駅ナカで葉巻が売っていましたし、異国情緒を感じながらしばし感慨にふけっていました。


コペンハーゲン中央駅、Wikipedia より

コペンハーゲンでの宿所はいわゆる安宿。でも相部屋ではなく個室。ソファーをベッドに変換させるタイプ。風呂は無く、シャワーはシャワーヘッド形式ではなく簡易な注ぎ口。TV付きだが、言葉が英語ですらないので、サッカーやスポーツばかり見ていたような記憶があります。

コペンハーゲンで行ってみたかったのは人魚姫の像。あとは旧市街(旧市場街)。そのくらいの軽い工程で早速街歩きへ。

人魚姫の像があるあたりは王宮もあり雰囲気もよい。港町らしい雰囲気が漂っております。可愛らしい公園もありました。


著者撮影。人魚姫の像近くの公園。


噂にきけば、世界三大がっかりポイントの一つが人魚姫の像とのこと。さて、そんなにがっかりなのか?の確認も兼ねて、王宮の前を闊歩し、きれいな公園を縫うように歩いていく。

と、海が見えてきました。波の音、海の匂いが徐々に鼻腔を刺激してきます。当時、横浜在住だったので、あの横浜の海がこの海まで続いているのだなと、意味のない妄想も浮かぶ。

そんな妄想の合間に見晴らしのいい場所に出ました。視線の中には、係留されている船があっただろうか、街灯や空のイメージ、雲も浮かび、岩や草などの自然物もあった気がします。ぼんやりとしたその眺めにピントを合わせていく。すると何かがありました。人の形のようなそれ。

それが人魚姫の像でした。

像自体は思っていたよりステキなもので、質素ではあるが、造詣が美しい。無骨な大きな岩が難点でしたが、岩の上に乗せられたそれは確実に「モノ」としては良いものだったように思います。

ただ、違和感がかなりありました。なんだろうこの違和感は。しばしたたずみ、思い当たったのは、この像は周りの風景に調和していないという事。像が置かれている場所は何の変哲もない護岸だったから。

大きな空、白い雲、海の匂い、近くの風光明媚な公園、堂々とした完全に対称の美に溢れていた王宮という、あの地域特有の美しさと比較すると、調和から外れているのは間違いなかった。

この像が、無骨な岩の上ではなく、配置を考えた上で王宮の入り口に置かれていたら。風光明媚な公園の丘の上に置かれていたら。海と調和するような意識で置かれる場所の選定がされていたら。きっと素敵な観光名所になったことと思うんです。

ただ。

今、人魚姫の像がある場所には、調和がなかったんです。

その時。僕は調和という言葉の本質的な意味を学んだ気がする。

調和とはそれだけでは為しえないのだ。周囲の環境との兼ね合い、周辺への配慮があってこそ、初めてその主体が活きてくるのだと。

デンマーク、コペンハーゲンの初日。僕はそんなことを人魚姫の像から学んだのだった。

その当時、心に流れていた音はこちら。

クランベリーズ「Just My Imagination」

次回は、古い市場街への旅をお送りします。ご期待ください。

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