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スペイン旅日記その1 ~ 人生観が変わる強烈な哀愁と情熱 スペインの二面性

1997年の夏。スペインの2か月間の旅。
スペインの旅を通して感じたことについて書いてみます。文化のこと、街のこと、食べ物のこと、サッカーのことなどを。そのときに実際聴いていた、または心の中で鳴っていた音楽と合わせて。


「現地住民の相反する感情の発露」

スペイン滞在時、サラマンカという都市が生活の基盤でした。中央部のこの都市は決して観光名所ではなく、どちらかというと学生都市。この都市の大学、サラマンカ大学が研修の地。

サラマンカ大学は欧州でも有数の古い歴史を持ち、街自体が世界遺産(正確には街の旧市街が世界遺産)ですので、時間が空いた時にぶらっと散歩するだけでも見どころたくさん。

建物は細かい装飾がされていて、それをじっと見ながら歩く。どれも芸術的な装飾なのでこれがまた楽しい。

この地で経験した、ある意味「現地住民の相反する感情の発露」は今でも強烈な思い出となっていますし、個人的には生き方についてこれまでの考えを覆させられるような強烈な体感をしました。

相反する感情とは、何かというと、以下の2点。感情がそれこそ大きく揺れ動くんですが、それを1日のうちに体現しているわけです。

① シエスタ(皆が休憩をするので個店はすべてクローズ)の時間帯に街全体を貫く郷愁と哀愁
② 夜に広場で繰り広げられる、街全体を貫く情熱と感情の吐露


シエスタ(皆が休憩をするので個店はすべてクローズ)の時間帯に街全体を貫く郷愁と哀愁

サラマンカの建物は赤土色というか濃いベージュ色。シエスタで人がいない時間帯に歩いていると何とも言えない物悲しさが漂ってきます。悲しいというよりは哀愁。なつかしい故郷や、幼少期の事を思い出しているときに感じるのあの感情。

ちなみにポルトガル語ではサウダージと呼ばれるのがこの感情です。

ある日、街はずれで誰かが一人、ギターをポロリン、、と爪弾いていたりする。見かけるのはその方だけで、他に人がいない。赤土色の建物の旧市街。誰も出歩いている人のいない静寂。太陽がじりじり照り付ける中、街はずれの木陰からギターの音色が聞こえてくる。

この何とも言えない郷愁・哀愁

そして数時間後、夕焼けが広がっていく頃。もう一つの全く別の感情が沸き起こってきます。



街全体を貫く情熱と感情の吐露

スペインの旧市街の中でも屈指の「美しさ」を誇るといわれる、サラマンカの「プラサ・マジョール(直訳で大広場)」を訪れます。建物の美しさもさることながら、正方形の空間で夜な夜な繰り広げられる歌と踊りの饗宴。

広場は正方形で、アーケードになっていて、正方形の辺に当たる部分に沿って飲食店やお土産物屋が連なっていて。

夜になると、街の方々が一斉に集まってきて、わいわい食事を楽しみます。スペインの夕食は21時から22時に始まるので、そのちょっと前あたりから、わいわいがやがや。

そこに楽団が登場して、歌い踊る。一般の方も踊っていたり、サッカーをしていたり、その人なりに空間と時間を楽しんでいる。日曜以外は毎日、日付が変わるころまで繰り広げられるわけです。


強烈な思い出

シエスタでは徹底的に休み、街は哀愁を帯び、
夜は徹底的に歌い踊って、街は情熱を帯びる

なんと人生を謳歌しているのかと。なんと人生を楽しんでいる人々なのかと。もう強烈な思い出しかありません。

もし状況が落ち着いて、スペインに行くことがあれば、ぜひ広場のある場所を選んでみてください。日曜日以外で一泊されることをお勧めします。この広場のあの熱量を体感しない手はありません。(1997年の思い出なので現在は分かりませんが。)

皆が歌っていた大衆的な歌を最後に。

タイトルを訳すと
→時計よ、もう時を刻まないで

意訳するならば
→いつまでも、2人、このまま


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