首藤久義

言語(国語)教育研究者です。千葉大名誉教授です。楽しく実りある学びと、そのサポートのあ…

首藤久義

言語(国語)教育研究者です。千葉大名誉教授です。楽しく実りある学びと、そのサポートのあり方を、探究しております。「自由短句」を、日々、自由に書いて発信しています。

記事一覧

無限動因の全方位交響作用

信仰を持たない私が阿弥陀仏を語る資格はありません。 が、私は、宇宙の無限作用を想ったとたんに、自分の微小さが見え、目の前に展開する現実が地獄即浄土に見えます。 そ…

首藤久義
23時間前
1

侮辱

侮辱         ひさほたる20240508 侮辱は怒りの最大の原因。 とは言えないかもしれないが、 侮辱されて怒らない人は少ないだろう。 侮辱されることは大多数の人に…

首藤久義
23時間前

つらかったなあ

半世紀余り前のこと。 学部四年の年度末。 ぼくは卒業できなかった。 膨大な単位不足だ。 留年した。 同級生が旅立った。 旅立つ同級生たちの背中が見えた。 取り残されて…

首藤久義
1日前
2

出会いこそ学びの機会

出会いこそ学びの機会。 経験が学びの方法。 発見が認識の方法。 発明が思考の方法。 いじっていると見えてくる。 いじっていると生まれてくる。 なんやかんや言わないで、…

首藤久義
2日前
5

まあ、こんなもんだろうなあ。カフカの「変身」

カフカの「変身」(原田義人訳)の朗読を家事をしながら聴いた。始めはおもしろい趣向だと思いながら聴いた。途中までは、生活現実や人間をよく描いているなあと感心した。…

首藤久義
2日前
3

書くことへのいざないー澤田英輔著『君の物語が君らしく』を読む

書くことへのいざないー自己発見の楽しさ  「あすこま」さんこと、 澤田 英輔氏の近著『君の物語が君らしく~自分をつくるライティング入門』を読んだ。  本書は、経験…

首藤久義
11日前
9

読む力の向上: どのようにして、どこで、だれが

 読むとは、読者の内部で、文字を言葉によみがえらせ、言葉を意味(作品のイメージ世界)によみがえらせることである。それ以上でもそれ以下でもない。  授業場面での学…

首藤久義
4週間前
10

読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない?

読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない? それを読めば解決できる問いを、それを読んで作り、その問いを追究することを通して行う読解授業が、今、日本全…

首藤久義
1か月前
17

学ぶ楽しみを邪魔しないで

教師ができることなんて、たかだか、出会いの世話くらいだ。そして、その世話こそが貴いのだ。その出会いで何を理解したか、何を得たか、何を身に付けたかなんてことを、い…

首藤久義
1か月前
14

読みっぱなしが読書の王道!     学校の先生への苦言

読みっぱなしが読書の王道! 学校の先生への苦言 読みっぱなし! が、私の理想。 学校の先生は、読書のしかたにおせっかいをやきすぎる。 どう理解するか、 どう受け止…

首藤久義
1か月前
6

個が生きる同時異学習と評価

私が分担執筆した書物『これからの国語科教育はどうあるべきか』が東洋館出版社から刊行されました。 国語教育界を超えた幅広い執筆陣が書いています。 私の論考「個が生き…

首藤久義
2か月前
5

空に雲が

空に雲が          ひさほたる20240304 空っていいなあ、空だもん。 雲っていいなあ、雲だもん。 雨っていいなあ、雨だもん。 土っていいなあ、土だもん。

首藤久義
2か月前
2

個性と共通性  群れで生きる一人一人

人間は一人一人個性をもちながら、他の人と共生する。他の人と共生するためには、他の人との共通性が必要である。他の人と共通の性質をもちながら、同時に、個性も維持し続…

首藤久義
3か月前
9

「全方位交響作用世界」という世界観

物質も精神も空間も時間も、この世界を構成するあらゆる要素が交響し合う要因となって、世界が動いている。世界の主人公は、この世界を構成するあらゆる要素のすべてである…

首藤久義
3か月前
6

する国語

 私はかつて「する国語」を演題にして、小学校の先生がたに講演したことがあった。今から30年ほど前だったかな?  その時の聴衆の反応が良くなかったので、それに懲りて…

首藤久義
3か月前
17

試行錯誤的自己評価

 「試行錯誤的自己評価」とは、聞きなれないかもしれませんが、わかりやすく言うと、自分でやってみて必要に応じてやり直しながら目的実現に近づくために自分がする自己評…

首藤久義
3か月前
6

無限動因の全方位交響作用

信仰を持たない私が阿弥陀仏を語る資格はありません。
が、私は、宇宙の無限作用を想ったとたんに、自分の微小さが見え、目の前に展開する現実が地獄即浄土に見えます。
そう感じる私に引き戻してくれる大切な窓の一つが、連日声を出して読み続けている英訳仏典です。
私にこう言う視野を広げてくれるもう一つの窓は、無限動因観です。「無限動因論」あるいは「無限動因の全方位交響作用」とも呼んでいますが、それは私が勝手に

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侮辱

侮辱

侮辱
        ひさほたる20240508
侮辱は怒りの最大の原因。
とは言えないかもしれないが、
侮辱されて怒らない人は少ないだろう。
侮辱されることは大多数の人にとって、
怒り、反発、嫌悪、発奮の大きな原因と言えるだろう。
ただし、侮辱した人がそれに気づいているとは限らない。
私は学部生時代、
進路を語り合っている場で、
大学院生として着々と研究者への道を歩んでいるM先輩から、
君は研究

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つらかったなあ

つらかったなあ

半世紀余り前のこと。
学部四年の年度末。
ぼくは卒業できなかった。
膨大な単位不足だ。
留年した。
同級生が旅立った。
旅立つ同級生たちの背中が見えた。
取り残されて、情け無かった。
情け無いとは言えなかった。
情け無いとは思えなかった。
つらすぎるから。
身から出たさび。
自分のせい。
我がしわざ。
身の報い。
つらかったなあ。
一からやり直した。
じっと我慢して少しずつ。
少しずつ。
やり直し

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出会いこそ学びの機会

出会いこそ学びの機会

出会いこそ学びの機会。
経験が学びの方法。
発見が認識の方法。
発明が思考の方法。
いじっていると見えてくる。
いじっていると生まれてくる。
なんやかんや言わないで、いじる。
そうすると見えてくる。
そうすると生まれてくる。
それが面白い。
それが楽しい。

まあ、こんなもんだろうなあ。カフカの「変身」

まあ、こんなもんだろうなあ。カフカの「変身」

カフカの「変身」(原田義人訳)の朗読を家事をしながら聴いた。始めはおもしろい趣向だと思いながら聴いた。途中までは、生活現実や人間をよく描いているなあと感心した。中ごろから退屈し始めた。やりきれない思いがした。もう聴きたくなくなった。が、どんな終わり方をするのかが気になった。そこからは、青空文庫の文章を自分で読んだ。そして読み終えた。まあ、こんなものなのだろうなあ。現実はそうなんだろうなあ。でも、人

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書くことへのいざないー澤田英輔著『君の物語が君らしく』を読む

書くことへのいざないー澤田英輔著『君の物語が君らしく』を読む

書くことへのいざないー自己発見の楽しさ

 「あすこま」さんこと、 澤田 英輔氏の近著『君の物語が君らしく~自分をつくるライティング入門』を読んだ。

 本書は、経験と感想を正直に書かせようとする作文指導論ではない。原稿用紙に鉛筆で書かせて評価する作文指導論でもない。自立した一人の書き手(ライター)として書くことへのいざないの書である。深い意味が分かりやすい表現で語られている。

 本書は、7章+

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読む力の向上: どのようにして、どこで、だれが

読む力の向上: どのようにして、どこで、だれが

 読むとは、読者の内部で、文字を言葉によみがえらせ、言葉を意味(作品のイメージ世界)によみがえらせることである。それ以上でもそれ以下でもない。

 授業場面での学習方法としては、作る・演じる(翻作やクイズ遊びを含む)・味わい楽しむ・何らかのテーマや課題の解決に役立ちそうな文書を探して読み取るなどの活動、あるいは、読む力の向上を願って自分から練習することなどがある。そういう活動や練習を通して、学習者

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読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない?

読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない?

読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない?

それを読めば解決できる問いを、それを読んで作り、その問いを追究することを通して行う読解授業が、今、日本全国の学校で進められている。しかし、おかしくないか?読めば解決できる問いを、読んで立てるんだよ。問いを作った時点で解決できているはずじゃないか。私のその批判に対しては、浅く読んだ段階で解決できなかった問いを浅く読んで立てるんだという返答が返

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学ぶ楽しみを邪魔しないで

学ぶ楽しみを邪魔しないで

教師ができることなんて、たかだか、出会いの世話くらいだ。そして、その世話こそが貴いのだ。その出会いで何を理解したか、何を得たか、何を身に付けたかなんてことを、いちいちチェックし、いちいち評定する必要はない。
それぞれの子が、その子なりにそれぞれの学びを得るのだ。教師が一度教えたら、その一度で全員が全部を完璧に理解し、完璧に習得するなんて、考えないほうがいい。
子供の中には、教師以上に理解し、教師以

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読みっぱなしが読書の王道!     学校の先生への苦言

読みっぱなしが読書の王道!     学校の先生への苦言

読みっぱなしが読書の王道! 学校の先生への苦言

読みっぱなし!
が、私の理想。

学校の先生は、読書のしかたにおせっかいをやきすぎる。
どう理解するか、
どう受け止めるか、
どう感じるかについて、
おせっかいをやきすぎる!
そして、読書を面倒くさくする。
それが親切だと思っている。

学校の先生は、
親切な自分をほめている。

そうして、
学校の先生が求めるような読みをすることが読書だと思う子を

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個が生きる同時異学習と評価

私が分担執筆した書物『これからの国語科教育はどうあるべきか』が東洋館出版社から刊行されました。
国語教育界を超えた幅広い執筆陣が書いています。
私の論考「個が生きる同時異学習と評価」の内容構成は次のとおりです。
1. 一斉授業の問題
2. 同時異学習のすすめ
(1)同時異学習とは
(2)共通の大枠の中での同時異学習
(3)同時異学習のいろいろ
(4)個別も一斉も必要に応じて
3. 別々の

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空に雲が

空に雲が

空に雲が

         ひさほたる20240304

空っていいなあ、空だもん。

雲っていいなあ、雲だもん。

雨っていいなあ、雨だもん。

土っていいなあ、土だもん。

個性と共通性  群れで生きる一人一人

個性と共通性  群れで生きる一人一人

人間は一人一人個性をもちながら、他の人と共生する。他の人と共生するためには、他の人との共通性が必要である。他の人と共通の性質をもちながら、同時に、個性も維持し続ける。

それは個々人が自らの内部に育てる言葉も同じである。個々人の言葉は、他の人の言葉と共通性を持ちながら、しかし、人々の言葉が全く同じ言葉になることはなく、人は自分の言葉の個性を生涯維持し続ける。一人一人の音声言語表現が完全に同じになる

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「全方位交響作用世界」という世界観

「全方位交響作用世界」という世界観

物質も精神も空間も時間も、この世界を構成するあらゆる要素が交響し合う要因となって、世界が動いている。世界の主人公は、この世界を構成するあらゆる要素のすべてである。どこかあるところにいる絶対者が自分の意志でこの世界を動かすなんてことはできるものではない。世界を自分の力で動かそうという幻想を抱くことはできるが、現実には、自分の思うままに動かすことはできない。

ほかの人も私も物も、この世界を構成する全

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する国語

する国語

 私はかつて「する国語」を演題にして、小学校の先生がたに講演したことがあった。今から30年ほど前だったかな?

 その時の聴衆の反応が良くなかったので、それに懲りて、その後このタイトルで話したり書いたりすることをしてこなかった。その後もその方向で進んできたのではあるが、「する国語」という言い方はしないできた。

 そんな私が今、澤田英輔先生(が中心だと私は推測する)らの共同翻訳でアトウェルの本を読

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試行錯誤的自己評価

試行錯誤的自己評価

 「試行錯誤的自己評価」とは、聞きなれないかもしれませんが、わかりやすく言うと、自分でやってみて必要に応じてやり直しながら目的実現に近づくために自分がする自己評価のことです。そういう自己評価を私は「試行錯誤的自己評価」と呼んで大切にしています。

 試行錯誤的自己評価は、自分の行動を目的に照らして評価し修正するために自分がする評価です。人は人生のあらゆる場面でこれをしながら成長していくのだと思いま

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