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AOSJ 〜 リンジー・ウェブスター

(2 min read)

Lindsey Webster / Reasons

萩原健太さんに教わりました。いつもありがとうございます。

スムース・ジャズ・チャート(on ビルボード)常連の歌手、リンジー・ウェブスター最新作『リーズンズ』(2022)は、アダルト・オリエンティッド・スムース・ジャズみたいなもんでしょうね。ドナルド・フェイゲン/スティーリー・ダン的なサウンドというか。

スタイリッシュな音楽で大好きなんですけど、特にホーン・セクションの組み立てとあしらいかたがとってもおしゃれで都会的。幕開けから三曲ジャズが続きますが、4曲目はわりとソウルフル。しかもこれはいはゆるグラウンド・ビート(ソウル II ソウル)です。

これを聴いてもわかりますが、グラウンド・ビートって3・2クラーベの感覚が独自のハネとなって活きていますよね。1980年代末から好きできたのはそれも理由なんでしょうか。リンジーのこれでは、その上でさらにランディ・ブレッカーのフリューゲル・ホーン・ソロとケヴ・チョイスのラップまでフィーチャーされているという。

かと思うと続く5曲目はスティーリー・ダンそのまんまなナンバー。特にホーン・アンサンブルのカラーなんかは完璧なるコピーともいえる内容で、ひょっとしてフェイゲンがペンをとったんじゃないの的な。ポップなフィーリングもあるし、これも好きだなあ。

そもそもがあのへんのフュージョンとかAORとか関連諸方面の音楽は、当時からリズム&ブルーズ〜ソウルに立脚してこそ成立していたわけで、はなからソウル・ジャズだったというか多ジャンル接合的だったもの。

そう考えればリンジーの本作も「なんだスムース・ジャズじゃん」とケチをつけられる理由なんてなく、ふんわりメロウでおしゃれな表層サウンドの下に、実は21世紀的新世代感を身につけているというかこの手の音楽はむかしからそうだったというか。

11曲目でフィーチャーされているニコラス・ペイトンのトランペットだってなかなか渋くて味があるし、アルバム全体でグルーヴがタイトでソリッド。ふくらみすぎずシャープにまとめているなというのはリンジーのヴォーカルについても言えます。

(written 2022.12.19)

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