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ともだちとしての歌 〜 富井トリオ

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富井トリオ / 恋の果て

2021年12月19日早朝、突如出現した富井トリオの「恋の果て」。富井トリオというのはこの新曲のための新規編成名称でしょう、やっているのはぼくにはおなじみのとみー(1031jp)さんで、聴き慣れた声が流れてきます。

おなじみのとみーさんと言ったって多くの読者のみなさんは「だれ?」っていう気分でしょうから、ちょっと記しておきましょう。年齢とかバイオとか本名はぼくも知りませんが、ザ・ハングオーヴァーズというインディ・ロック・バンドのギター&ヴォーカルとしてずっと活動してきていて、それだけでなくさまざまな編成で都内の小規模ライヴ・ハウスで活動しているみたい。

10年以上前にTwitterでたまたま偶然知り合って、それ以来ずっと音楽活動をじんわりほのかに応援するようになったんですが、とみーさんは以前 “1031jp” 名でソロ・アルバムをリリースしています。その名も『1031jp』(2016)。

その後(主に岩佐美咲と原田知世のコンサートを聴きに出かけた東京で)2019年1月、渋谷の小さなライヴ・ハウスに行き、とみーさん+2のライヴを聴き、終演後に個人的に会ってちょっとしゃべるということもありました。あのときスマホでツー・ショット写真を撮ろうと思っていたのに、音楽話に夢中になって忘れちゃいましたねえ。

ずっとインディ活動なのはただでさえキビシイと思うのに、大物音楽家でも苦しんでいるコロナ時代以後はいったいどうしているんだろう?とずっと気にかけていたところ、きょう、新曲がYouTubeでリリースされ、ちょっぴりうれしい気分ですよ。

富井トリオの「恋の果て」、上掲、公式アップされたYouTubeの説明文に、演奏メンバーや録音データなどクレジット関係がくわしく記載されていますので、ぜひごらんください。やはりとみーさんが作詞作曲、ギター、ヴォーカルで、あとはベース&ドラムスというシンプルなロック・バンド編成。

ロックから離れるということがテーマみたいになっていたソロ・アルバム『1031jp』から六年、一転して今回の富井トリオ名義での新曲「恋の果て」はザ・ハングオーヴァーズっぽいロック・チューンに仕上がっていると言えます。アメリカ西海岸系のさわやかなポップ・ロックかな。

個人的に好きなのはとみーさんの曲づくりとヴォーカルのトーン。声質がやわらかくていいっていうか、これは前からそうなんです。今回の新曲では原”GEN”秀樹さんのキレがよく手数の多い跳ねるドラミングもめっちゃタイプ。

いろいろ足さずにシンプルにまとめたトリオ・サウンドが心地よく、プログラミングなしで人力生演奏にこだわったのも近年の音楽界の流れと合致しています(そこかしこに微妙なサウンド・エフェクトが入っているけど)。ラップにチャレンジしているのもいいですね。歌と切り離せないかたちでないまぜになっているラップですけど。

なんどでも飽きずにくりかえし聴ける富井トリオの「恋の果て」。もう30回くらい聴いたよなあ。生活感覚に根ざした身近で日常的な歌詞とメロディがアット・ホームでファミリアーな質感。とみーさんのこのナイーヴ(さはロック・ミュージックの特質)で心地いい声は、決してリスナーのメンタルをえぐらず、そっとそばにたたずんでいるような姿をしています。

(written 2021.12.20)


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