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しんどいとき助けになる音楽(38)〜 ナット・キング・コール『アフター・ミッドナイト』

(2 min read)

Nat King Cole / After Midnight

だれがどう言おうとナット・キング・コールが好き。なめらかで丸く甘い歌声がですね、ほんとうに気持ちいなぁって。1957年のアルバム『アフター・ミッドナイト』は、ポップ歌手として大きな成功をおさめたのちにやったジャズ回帰作で、とってもいいんです。

原点回帰ってわけで、もちろんナットもジャズから出発したのでした。本作のレパートリーのなかには1940年代初期のピアノ・トリオでやった曲の再演もあるし、ほとんどすべてがスウィンギーなジャズ・ナンバーで、痛快。

むろんなかにはポップに寄ったような曲もあるんですけど、そうかと思えばごく初期のデビュー当時(デッカ時代)を思い起こさせるようなジャイヴなフィーリングも聴けたり、ラテン・ナンバーもあったりと、さまざまな切り口からこの歌手を楽しめるいい作品ですよね。

スタンド・マイクで大きなオーケストラをバックに歌うようになっていたナットが、ひさびさにピアノの前にすわって、弾きながらコンボで歌っているし、その腕前もかつてのまま立派です。ピアノをかなりたくさん弾いているし、メンバーのジャジーなソロやオブリガートもたっぷり。

40年代と比べればいっそう声が丸くソフトで甘口になったなあという実感もあり、そういうほうが好きなぼくなんかにはむしろ『アフター・ミッドナイト』こそ好ましいと思えたりしますからね。

(written 2023.9.26)

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