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ブルーズ in ハード・バップ

(5 min read)

Blues in Hard Bop

が、もうホント、好きで好きでたまらないっていう人間のぼく。ひとにより退屈だとかいうケースがあっても各人それぞれの嗜好なのでそれでいいと思います。個人的に好きなものを聴き続けていくってことで。

そういうわけで、きょうはハード・バップ・ブルーズのなかから特に大好きという、しかもみんな知っている超ベタな有名すぎるところだけ10曲選んで、プレイリストにしておきましたのが上のリンク。

1)Horace Parlan / Us Three (60)
2)Miles Davis / Freddie Freeloader (59)
3)Lee Morgan / The Sidewinder (63)
4)Herbie Hancock / Watermelon Man (62)
5)Sonny Clark / Cool Struttin’ (58)
6)Curtis Fuller / Five Spot Ater Dark (60)
7)Horace Silver / Señor Blues (57)
8)Charles Mingus / Wednesday Night Prayer Meeting (60)
9)Sonny Rollins / Blue 7 (57)
10)The Modern Jazz Quartet / Bags’ Groove (88)

それはそうと、Spotifyで見るとカーティス・フラーの「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」だけカナ表記なんですが、これなんで?アルバム中でもこれだけ。英語設定で使っているし、どんな曲名も基本原語表記で出るアプリなんだけどな〜。

ともあれ、ここに並べた10曲のジャズ・ブルーズは、どなたにとっても説明などまったく不要の名曲ばかり。ラストのMJQだけ88年の発売になっていますが、収録は解散前の74年。それでも新しいかもしれませんね。でも曲は52年のものですから。『ラスト・コンサート』ってぼくは好きなアルバムです。

これ以外はすべてハード・バップ全盛期の50年代後半〜60年代初頭の録音発売です。選んでいったら結果的にそうなったのは必然の成り行きなんでしょう。いまの気分では、静かでおだやかな音楽と(その真逆みたいな濃ゆい)ブルーズ in ジャズ & ロックが音楽趣味の二本柱みたいなもんです。

きょう選んでおいたのは、いずれもブルーズの定型コード進行(I度、IV度、V度)そのままのものばかり。といってもモダン・ジャズですから、特にコーラス終わりとかで、ちょっぴりの変化はあるんですけれども。まずまずわかりやすくとっつきやすいし、聴き慣れた人間にとっても延々と同一パターンを反復するのには理屈抜きの身体的快感があります。

これらのなかでは、おそらくソニー・クラークの「クール・ストラッティン」あたりが、特に日本人ジャズ好きには最も典型的でシンボリカルなハード・バップ・ブルーズだと認識されているでしょう。カーティス・フラーの「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」もかな。

こういったあたり、あまりにもベタすぎるので、ジャズ・ファンになってまもなく通ぶるようになったぼくは、むかし大学生のころ、横目でチラ見しながらケッ!とかって思っていたかもしれません。いまや高齢者、そんな気取りというか冷淡ムードは消えたので、いいものはいい楽しいと心から素直に周囲にも言えるようになって、ここでこうしてプレイリストに選んでいるというわけです。

ベタというのは言い換えればミーハーということです。そう、ハード・バップにおけるブルーズ定型はミーハーな世界なんですよね。ありきたりでお決まりのワン・パターン。でもミーハーで一途な愛好情熱こそ、どんな世界でも、常に時代を動かしてきたものなんだということを忘れないでほしいですね。

一曲だけ、ソニー・ロリンズの「ブルー・7」だけはあまりブルーズくささのないクールな演奏で、それでも途中ソロを弾くピアノのトミー・フラナガンだけはいつものブルージーなリックを連発して、和声を感じさせないボスのテナーと好対照。マックス・ローチのドラムス・ソロがこれまた二小節単位で動くブルーズ進行を叩いているような内容で、それも楽しい。

(written 2022.8.15)

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