いやらしいファンキー&アーシーさ 〜 ビッグ・ジョン・パットン
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Big John Patton / Oh Baby!
ソウル・ジャズのオルガン奏者、ビッグ・ジョン・パットンの『Oh Baby!』(1965)を聴く機会があったのは、これもブルー・ノートの公式ソーシャルがきっかけ。ヴァイナル・リイシューされたというお知らせで、それを見てサブスクでさがしました。
いやらしいファンキー&アーシー路線まっしぐらで、やっぱこういうの好きです、ぼくはいまだに。しかもカンタンな打ち合わせだけでやってみたジャムみたいなものじゃなくて、事前にアレンジが練り込まれリハーサルもそれなりに積んだということをうかがわせるタイトさがあって、そんなところも好み。
特にオープニングの「ファット・ジュディ」が最高。なぜならこれは大好きな「ザ・サイドワインダー」(リー・モーガン、1964)のパターンそのままだから。パッ、パッとスタッカートで演奏されるリフはほぼパクリといってもいいくらい。ビートのかたちだってねえ。
こうしたジャズ・ロックのノリが好きでたまらないぼくには「ファット・ジュディ」もこたえられないおいしさですよ。こっちではベン・ディクスンのドラミング、なかでもベース・ドラムの踏みかたに独特の快感があって、ヤミツキになるグルーヴィさ。グラント・グリーンは一発でこのギターリストだと見ずともわかる手癖で、それも好き。
ビッグ・ジョンのハモンド・オルガンだって、これでもかとスケベったらしくもりあげて、それはアルバム全編でいえることなんですが、こういうのはアメリカン・ブラック・ミュージックで、20世紀のあいだは、伝統的なマナーだったものなんです。そこに悦楽を見出すファンのひとりなんです、ぼくは。
ラテン・ビートを使ったものだってあるし、ストレートなシャッフル・ブルーズもありで、全編ノリいいグルーヴ・チューン。メロウなスウィート・バラードが一曲あったなら文句なしだったんじゃないですかね。5曲目のストレートな高速4ビートはあんがい現代的です。
(written 2022.11.1)
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