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極上のカリブ風味と洗練されたアフロ・ポップ・センス 〜 カリナ・ゴメス

(3 min read)

Karyna Gomes / Mindjer

bunboniさんに教えていただきました。

ギネ・ビサウの新進歌手、カリナ・ゴメス(Karyna Gomes)のデビュー・アルバム『Mindjer』(2014)。かなり内容がいいし大好きで、今年のベスト10アルバム有力候補だなと思ったら、六年も前のリリースじゃないですか。もうちょっと最近の作品なら、間違いなく2020年ベストのなかに選んでいたはずです。

と思うほどすばらしい音楽で、よく聴いています。なんといってもカリブ/ラテン風味ですね、気に入っているのは。たとえばアルバムの出だし1曲目がいきなりのサルサ・ナンバーじゃないですか。このグルーヴ感、リズム、サウンドが最高に心地いいですよね。カリナのやわらかくていねいな歌唱もみごと。これ、曲を書いたりアレンジしたりは、カリナ自身がやっているんですかね?だとしたら脱帽です。

アコーディオンがいい感じに入ってくるのには、サルサ(アフロ・キューバン)でありながら、クレオール風味を感じたりもして。もうこの出だし1曲目だけで、あっ、ぼくはこのアルバム大好きだぞ、と確信できる内容ですよ。キューバンというかカリビアンなラテン風味は、アルバム中ほかにも数曲あります。

3曲目のビート感なんかもそうですし、4曲目のイージーでリラクシングな感じはたしかにハワイ音楽を想起させますが、同時にこの明るい感じにはカリブの青い空をもぼくは連想したりもしました。リズムのノリにちょっぴりアバネーラっぽいフィーリングもありますからね。男声の語りではじまるラスト12曲目も、ビートが入ってきてからはキューバン・ミュージックふうに聴こえます。

正確にはカリビアンというよりアフロ・クレオール音楽ということでしょうけれどもね。ギネ・ビサウらしい西アフリカ音楽要素だってもちろん強く、たとえば数曲でコラがフィーチャーされていますけど、実に効果的。ところでぼくはコラという弦楽器の繊細な美しさ、その音色が最高に好きなんですけど、ねえ、ほんとうにすばらしいサウンドですよね。

たとえばこのアルバムのクライマックスというか白眉といえる6曲目「Mindjer Di Balur」でのコラ・サウンドの入りかたなんか、絶品ですよねえ。たおやかで美しい。曲づくりもアレンジも繊細で、しかも高度な洗練を感じます。コラの美しい音色とアコーディオン、カリナのソフト・ヴォイス、くわえパーカッションがからみあって、もうえもいわれぬ極上のアフロ・ポップに仕上がっていますよね。この「Mindjer Di Balur」を美しさでしのぐアフロ・ポップは、近年聴いたことがないぞと思うほど。

(written 2020.11.9)

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