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楽しい時間をワン・モア・タイム!〜 ケニー・ドーハム

(3 min read)

Kenny Dorham / Una Mas

そういえばケニー・ドーハム(ジャズ・トランペッター)ってあまり熱心に聴いてきませんでした。ほかのジャズ・ミュージシャンのリーダー・アルバムに参加しているのを聴けばいいなぁ〜と思ってきたのに、ケニー自身の作品をディグすることが少なくて。

でもこないだなにかでふらりとすれちがった『Una Mas』(1963)には度肝を抜かれたっていうか大感動して、なんども聴いちゃいました。特に1曲目のアルバム・タイトル・チューンでぶっとび。

ボサ・ノーヴァ・インフルーエンストな一曲ということになっていて、たしかにそんな感じがあります。クインシー・ジョーンズの有名な「ソウル・ボサ・ノーヴァ」なんかと同じパターンで、あれは1962年だったからひょっとしてそれにインスパイアされてケニーは翌年「ウナ・マス」を書いたかも。

USアメリカにおけるボサ・ノーヴァ流行期でした。しかしぼくの耳には(ケニーの得意とする)アフロ・キューバン・スタイルのようにも聴こえます。当時のモダン・ジャズ界ではしっかり区別されていなかったかも。でもそんな中南米ふうの跳ねるリズムが快感です。

鍵を握っているのはあきからにハービー・ハンコックのピアノとトニー・ウィリアムズのドラミング。レコーディング時すでにマイルズ・デイヴィス・クインテットのレギュラー・メンバーでしたが二名とも、そっちではまだこういった音楽やっていなかったです。

特にハービーがブロック・コードを叩くのが快感で、そのパターンは自身のヒット・ナンバー「ウォーターメロン・マン」なんかと共通しています。トニーのほうは60年代末ごろまでラテン・ビートを自身ではさほど活用していなかったですから、ケニーのこれではハービーが主導権を握っているんでしょう。

うねうねと身をよじらせるようなジョー・ヘンダスンのテナー・サックス・ソロも聴きごたえありますし、三番手で出るハービーはまったくお得意の曲調って感じで水を得た魚のごとく闊達に弾いています。

ケニーの声でしょう終盤で「ウナ・マス!」との掛け声が入り、そのことばどおり同じテーマがまたもう一度リピート演奏されるのも楽しいですね。

(written 2023.4.23)

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