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ちょっとセピアな色褪せ感 〜『ロー・ファイ・シティ・ポップ』

(3 min read)

Grey October Sound / Lo-Fi City Pop

ジャズみたいなオーガニック演奏音楽こそ好きなのに、どうして100%コンピューター・プログラミングでつくりあがっているロー・ファイ(というジャンルがある)とかがぼくは気持ちいいんでしょうか。考えたら不思議な気もしますが、生理的快感は否定できず。なにか通底するものがあるのかなあ。

ともあれ、日本のロー・ファイ・シーンで活躍するグレイ・オクトーバー・サウンドの手がけた最新作『ロー・ファイ・シティ・ポップ』(2023)も大好き。一作目の『ロー・ファイ・ジブリ』は昨年記事にしました。

ロー・ファイはだらだら流してムードだけ味わっていればいい音楽。お勉強タイムとかのBGMとしてなどの使用が想定されているもので、ぼくみたいにサブスクのトラックリストをジッと凝視したまま動かずマジな気分でロー・ファイをじっくり聴き込んでいるやつなんて、いないかも。

今回は世界で流行のJシティ・ポップをロー・ファイ・カヴァーしたものってことで、いちおう原曲のオリジナル歌手を一覧にしておきました。

1 泰葉
2 竹内まりや
3 松原みき
4 大貫妙子
5 荒井由美
6 杏里
7 1986オメガトライブ
8 山下達郎
9 サーカス
10 シュガー・ベイブ
11 松原みき

リアルタイムではことごとくスルーしてきた音楽なのに、ロー・ファイ・ヴァージョンで聴いても「あ、これまえから知ってるぞ」となってしまうのは、さすがにヒットしていたんでしょう。

そんなぼくもここ数年こういったシティ・ポップの魅力を再発見、じゃなくて初めて見出すようになっていて、2017年に原田知世のファンになったあたりがきっかけだったんじゃないかと思いますが、ジャジーで落ち着いた都会派音楽こそ好みになってきたいまでは、ロー・ファイ・ヴァージョンも楽しめます。

ロー・ファイはわざとデジタルくさいツクリモノ・ビート感を付与することで、ちょい古めを意識した現代的レトロ・ムードを演出する音楽。現在進行形のオーガニック演奏音楽でない打ち込みフル活用で、ちょっとセピアな色褪せ感(がおしゃれだっていうのがいまの若者感覚)を出しています。

(written 2023.4.24)

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