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Get the album on vinyl, CD, download or stream it

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この英語は、ブルー・ノート・レコーズが新作アルバムをリリースした際の告知ソーシャル・メディア投稿で毎回必ず添えられていたセリフ(最近は表現が変わったみたい)。アルバムを、レコードか、CDか、ダウンロードで入手するか、ストリーミングで聴いてねってことです。

そう、毎回必ずぜんぶに添えられていたセリフなんですが、レコード、CD、ダウンロード、ストリーミング、これら四種をすべての新作アルバムにブルー・ノートは用意してくれているんですよね。これこそ理想形じゃないでしょうか。

日本でも2017、18年ごろからかストリーミング(サブスク)で音楽を聴くことが一般化し、いまやすっかり定着していて、たぶん七割、八割以上のみなさんがそれでしか音楽に接していないと言ってもさしつかえないほどになりました。全世界的にみても、いまや最主流の音楽聴取手段ですよね。

でもそのいっぽうでいまだにフィジカルにこだわりを持つ向きもけっこういるし、CDだけじゃなく、レコード人気だってむしろかなり復活しつつあるような動きすらあります。ダウンロードして手元のパソコンなりスマホ内のストレージにそのファイルを置いておきたいという考えのファンだっているでしょう。

音楽への接しかたはだからひとそれぞれ、千差万別、十人十色(といってもおおまかにいって四種類だけど)なのであって、この聴きかたがいまや中心手段だから、大勢がそうしているからといって、それを他人に押しつけることなどできませんし、してはいけません。各人みんなが自分なりの方法でやればいいだけの話です。

だから、それらすべての方法を網羅、用意するブルー・ノートの姿勢はたいへんにすばらしいものだなと実感するわけですよ。これはですね、一部のレコード会社、レーベルが限定的な聴きかたしか用意しないこともあるという事実をふまえてのぼくの意見です。

たとえばベルギーのプラネット・イルンガ(Planet Ilunga)。コンゴ音楽を復刻している会社なのですが、ここはレコードしか出さないんですよね。CDを出さないばかりか、配信にも載せず。だから、レコード・プレイヤーを持っている人間しか相手にしていない商売です。はたしてこんなことでいいのでしょうか?

プラネット・イルンガがリリースする音楽は、中身はなかなかすばらしいものだというウワサを伝え聞いています。でもレコードを買ってもいまのぼくには聴く方法がないんですからね、もう一回レコード・プレイヤーを買わないかぎり。聴き手、購買者にハード面での追加投資を強いるような商売姿勢には大きな疑問を感じざるをえません。

配信にすら載せず、かなくなにレコードしか出さないっていうプラネット・イルンガみたいなのはかなりの例外だとは思います。多くの会社が数種類の方法を用意しているというのが現状ですからね。できればブルー・ノートみたいに、レコード、CD、ダウンロード、ストリーミング、とほぼすべての音楽聴取方法をもれなく用意してくれれば、これほどうれしいことはありません。

それであれば、聴き手はそれぞれの事情に応じて、自分が好きな方法で、音楽を買うなり聴くなりできるわけですからね。選択肢をすべてきっちり用意してほしい、どれで買うか(聴くか)はこちらに選ばせてほしい、それがぼくの強い願いです。

(written 2021.7.18)

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