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台湾で爛熟したチルなジャジー・ソウル 〜 薛詒丹

(2 min read)

薛詒丹 / 倒敘

Astralさんのブログで知りました。

台湾人歌手、薛詒丹(ダン・シュエ)初のフル・アルバム『倒敘』(2022)が最高にたおやかでいい。最初にEPを紹介していたbunboniさんも書いたし、だから言うことなんて残っていないんですけども、自分なりの感想を軽くメモしておきます。

世紀の変わり目あたりからずっと来ているジャジーなネオ・ソウル系の音楽で、おだやかな都会的洗練が高度にただようチルでおしゃれな一品。それが、昨年ごろからぼくも意識するようになりましたが台湾で爛熟しつつあるとの感を持ちます。

本作での個人的好物は、シルキー・メロウな2「飯後點心」、ドラマーの刻む細かいビートと小刻みなギター・リフが心地いい4「沙發危機」、なぜだかなつかしさ的なものがこみあげてくるような切な系メロディの10「倒敘」あたり。全編オーガニックな生演奏なのもグッド。

ヴォイス・カラーはちょっぴりビョークっぽいところもある歌手ですが、音楽性は違います。薛詒丹のこうした音楽は、ぼくのみるところ1980年代のフュージョン、AORあたりに源泉があって、その流れで来たスムース・ジャズやヒップ・ホップ通過後の新世代ジャズ、あるいはネオ・ソウルなどが、ここ数年ですべて一体となって溶け合って現在に至っているのではないかと。

特に台湾の新世代(薛詒丹、陳以恆、リニオン、レイチン、など)にいえると思うんですけど、多種な新世代音楽の融合はどの要素がどれだけの割合でどう溶け合っているか?がほぼわからない程度にまで渾然一体で消化されているのが特色。ジャズでありネオ・ソウルでありシティ・ポップであるっていう。

ですからはっきり分別しすぎないで、あるがまま素直に楽しむのが音楽の実態にそぐうことじゃないかなとぼくは思います。

(written 2023.1.10)

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