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21世紀的日本民謡はこっちだ 〜 坂田明

(3 min read)

坂田明 / Fisherman’s.com

1「貝殻節」

https://www.youtube.com/watch?v=SoG9dAmn84U
2「音戸の舟唄」

https://www.youtube.com/watch?v=p0qQr4dYqCM
3「斉太郎節」

https://www.youtube.com/watch?v=naqrHFcov4k
4「別れの一本杉」

https://www.youtube.com/watch?v=Atg9ha_chFI

ジャズ・サックス奏者、坂田明のアルバム『Fisherman’s.com』(2001)についても、以前一度記事にしたことがあります。

この文章、いまでもそれなりにアクセスがあるんですが、というのは日本民謡は近年ちょっとふたたび話題でしょう、たぶん民謡クルセイダーズのおかげで。ぼくの上掲記事へのアクセスがそれと関係あるのかはわからないですけど、坂田明のことをまたもう一回書いてみようと思うにいたりました。

音楽的なことは上でリンクを貼った過去記事をお読みいただければすべて書いてあります。きょうあらためて言いたいことは、この坂田明の『Fisherman’s.com』こそ、21世紀的なアップデートされた日本民謡の解釈としてスーパーだということです。これが2001年リリースの作品だったなんて、ちょっと信じられないですよねえ。

日本民謡をラテンに解釈した民謡クルセイダーズはもちろん楽しいんですが、その20年近くも前に、こんなヒップ・ホップ以後的なビート感で表現された日本民謡再解釈があったわけなんです。ぼく以外だれひとりとしてこのアルバムを話題にしていませんけどね。

坂田明、ピート・コージー、ビル・ラズウェル、ハミッド・ドレイクの組み合わせで、三曲の日本民謡(いずれも海や漁業を題材にしたもの)と一曲の演歌をとりあげて、ヒップ・ホップ以後的な新世代ジャズ・ビートな解釈をほどこして、ここにまったく新たな21世紀的日本民謡の姿が現出しているわけでありますね。

ぼくの知っている範囲では、ここまでコンテンポラリーで(2020年代的意味でも)、斬新でカッコイイ日本民謡というのは、この坂田明の『Fisherman’s.com』の前にも後にも出たことがありません。唯一無二の奇跡、異形のようなアルバムなんですよね。

ヒップ・ホップな細分化されたビート感を持ちつつ、全体としてはヘヴィなダーク・ファンクのようでもあり、ダウナーでブルーな色彩感は、まさにいまの時代のサウンドでもありますよね。音楽全体の方向性を決めたのはおそらくビル・ラズウェルじゃないかと思いますが、トラディショナルな日本民謡をとりあげて、ここまでコンテンポラリーな音楽に仕立て上げ世に問うた坂田明のチャレンジ精神には降参です。

ホント、ちょっと聴いてみてほしい、こんなにもカッコイイ日本民謡はほかにはまったく存在しないですって。特に民謡クルセイダーズがカッコいいと思っているファンのみなさんにはぜひ届いてほしいなと思っています。日本民謡の現代的再解釈というなら、だれも追いつけない世界がここにはあります。

(written 2020.12.23)

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