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ストーンズはいったいいつになったら音源カタログを整理するのか

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こないだ二、三日前(つまり五月末)に、ローリング・ストーンズ1968年のシングル曲「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」が配信リイシューされました。リマスターされているということらしいんですけど、それまでとの違いは聴いてもわからなかったです。

それはいいんですけど、この曲、シングルでしかリリースされていなくて、バンドの代表曲だからもちろん各種ベスト・アルバムなんかには当然収録されていますけど、問題はB面曲もふくめストーンズがいままでにリリースしたシングル盤音源って、実は2021年現在でもいまだにまとめられていないんですよね。

これははっきり言って大問題でしょう。ストーンズほどの大物ミュージシャンにしてはありえないていたらくだと思います。ストーンズ関連のこの手の話題でぼくがいつも念頭に置くのは、ビートルズの『パスト・マスターズ』のこと。

ビートルズも1960年代の現役活動当時はシングル盤でしかリリースしていない曲というものがけっこうありました。バンド解散後の時代でも、それらは7インチをさがして買うか、そうじゃなかったら収録されているコンピレイション(みたいなものがいくつもあった)を買って聴くしか方法がなかったんです。

そんなコンピも種々雑多で、どれとどれを買えば全シングル音源が揃うのかわからず、アルバム曲はダブったりするし、だから正直言ってみんな混乱していたので、ビートルズ公式は1987/88年の全作品公式初CDリリースの際に、シングル音源を整理・集大成して、二枚の公式CDアルバムにしてリリースしたんですよね。

それが『パスト・マスターズ』vol.1とVol.2。この二枚と、公式アルバムと、それだけ買えばビートルズが発売した公式発売音源はすべて残さず揃い、重複もないっていう、実にスッキリしたかたちになって、ファンとしてはほんとうにありがたかったのです。

ストーンズはこの手の整理をいまだやっていないんですね。現役バンドだから、っていうのはあるでしょうけど、さすがにメンバーも老齢、新作リリースもなく、ツアーでバンド活動を維持しているという現状では、過去のレコード、CD音源を、そろそろキチンと整理しておいてほしいよなと思っているファンはぼくだけじゃないはず。

ストーンズがいままでにシングル盤でしかリリースしてこずアルバムに収録されていないものは、ベスト盤など各種コンピレイションで聴くしかなく、それらはしかしシングルB面曲などは収録されていないケースが多いです。だから、実を言うといまではほとんど聴くことすらできないB面曲というのがあるんですよね。

さらにストーンズ特有の問題として配給会社移籍の際に必ず公式ベスト盤が発売されてきましたが、それにしか収録されていないレア音源というのがいくつかあるんです。たとえば1981年の『サッキング・イン・ザ・セヴンティーズ』に「イフ・アイ・ワズ・ザ・ダンサー(ダンス、パート2)」というものが収録されていました。

この「イフ・アイ・ワズ・ザ・ダンサー(ダンス、パート2)」は、アルバム『エモーショナル・レスキュー』1曲目の「ダンス(パート1)」の別ヴァージョンみたいなものですが、内容がかなり違っていて、それまでリリースされていなかった未発表曲というべきもの。アフロ・レゲエなダブ・ミュージックで、ストーンズとして当時の最先端サウンドを表現したものです。

これはほんの一例で、こういう例がストーンズのばあいけっこうあるんです。いまだにシングルでしか聴けない曲、ベスト盤などにしか収録されていないレア曲、しかもそれらはリイシューもされていないから、現在問題なく聴けるという状態にはないんです。『レアリティーズ 1971 - 2003』はサブスクにもないしねえ。

こんなことでいいんでしょうか。ストーンズ公式はなるべく早く音源カタログを整理して、ビートルズ公式が『パスト・マスターズ』を発売したように、ストーンズのアルバム未収録のシングル曲、レア曲をまとめてアルバムにしてリリースし、サブスクにも乗せるべきじゃないでしょうか。

その際は、アルバム曲のシングル・ヴァージョンとかは割愛してもいいと思うんですよね。現状で散逸・混乱した状態のままになっていて、ストーンズ・マニアは自分の脳内ヴァーチャル棚に整理して置いてあるのかもしれないですけど、一般のファン向けには不親切なありさまが続いていると思いますよ。

(written 2021.6.1)

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