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リーワード諸島出身のブルーズ・ロック・バンド 〜 デルグレス

(3 min read)

Delgrès / Mo Jodi

デルグレス(Delgrès)はカリブ海のリーワード諸島にあるグアドロープで結成されたトリオ・バンド。ギター、ドラムス、スーザフォンというちょっとめずらしい編成なんですね。いまはフランスで活動しているのかなあ、ちょっとわかりませんが、最新作『Mo Jodi』(2018)を聴きました。

デルグレスというバンド名は、19世紀初頭にリーワード諸島で奴隷制に立ち向かった英雄ルイ・デルグレスのスピリットを強く受け継いでいるというあかしらしいんですが、音楽的に、というか歌詞内容を気にしないで聴くぼくからしたら、サウンド面でそこはあまり気にならないですね。アルバム『モ・ジョディ』でも社会派な歌詞を持つものがあるみたいですけどね。

サウンド面でいえば、デルグレスは完璧なるブルーズ・ロック・バンドと言ってよく、スーザフォンがベースの代わりをしているのが風変わりというか、なぜ管ベースを使おうと思ったのかわかりませんが(音を聴くとその必然性はないような)、本質的にクリームやジミ・ヘンドリクスなんかがトリオ編成でやっていた音楽と同じことを、いままたやっているんだなとわかります。

しかし1960年代ロックにあったあんなサイケデリックにとんがった感じはデルグレスにはなく、もっとグッと聴きやすくスムースというのが特徴じゃないかと思いますね。アルバム『モ・ジョディ』を聴いていても、気持ちいいのでそのまま聴いていていつのまにか終わっているという、そんな感じ。スーザフォンの演奏するベース・ラインは、ミキシングのせいか、あまり目立たず音量も低いのであまりわからないです。

やっぱりリーダー格であるギター&ヴォーカルであるパスカル・ダナエの書いた曲を全面的に押し出しているなという印象で、ギター・プレイにさほどの特徴がなくとも、ヴォーカルのほうはちょっと味があるというかクセのある声質で、印象に残ります。ピーター・ゲイブリエルやユッスー・ンドゥールなどと共演を重ねてきたそうですよ。

ガレージ・ロックにも通じるような泥臭くてささくれ立ったムードもあって、ブラック・キーズあたりのファンのかただったらおもしろく聴けるバンドかもしれないです。カリブ海リーワード諸島で結成されたということですけど、カリビアンな音楽趣向を期待するとアテが外れるかもしれません。

(written 2020.12.31)

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