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不思議とクセになる官能 〜 ラスミー

(2 min read)

Rasmee / Thong-Lor Cowboy

bunboniさんのブログで知りました。

タイはイサーン地方出身のモーラム歌手、ラスミーの最新作『Thong-Lor Cowboy』(2021)は、なぜかニュー・オーリンズの先鋭新世代ジャズ・プロデューサー、サーシャ・マサコフスキーと組んでの、ハイブリッドでオルタナティヴな、クセになる不思議な甘美と官能に満ちた一作。

特に官能性というかセクシーさですね、ぼくが強く惹かれるのは。そのおかげで、なじみのないよくわからない音楽なのに、もう一度もう一度とくりかえし聴いてしまいます。そうした引力はイサーンの臭みの強いヴォーカル・ラインにだけでなく、打ち込みメインのサウンドというかビートにもあります。

サーシャ・マサコフスキーというのはまったく知らない音楽家なんですが(ラスミーもだけど)、本作ではシンセサイザーとプログラミングを担当、さらにニュー・オーリンズから鍵盤奏者、ギターリスト、ベーシストを連れてきていて、それでこのなんともいえない独特のサウンドをつくりあげているんですね。

ビートにメロウネスがこもっているというか、曲はラスミーの自作なんですが、こんなふうに仕立て上げることで、タイのモーラム音楽でありながら、新世代ジャズ・ヴォーカルの文脈でも聴けそうなハイブリット・ミュージックになっているのがすばらしいですね。

なにもわからない音楽なのに、不思議となんども聴いてしまうチャームを感じ、離れられないっていう本作、得体の知れないセクシーさに満ちていて、いまのところはそうしたわからないなりの解析できない快感に身をゆだねています。

(written 2022.6.21)

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